舟を編む
主人公は玄武書房に勤める、
馬締光也ことまじめさん。
在籍していた営業部では、
変人と見られていたが、
新たな辞書『大渡海』を編集することとなり、
メンバーとして編集部に。
馬締はこの部署で辞書作りに没頭する。
多くの問題を乗り越え15年という歳月の末、
チームワークの結晶である『大渡海』の完成へと。
5つの章から構成されていて
それぞれ異なった人物の「大渡海」に対する
心の動きを描いている。
辞書編集に関係した人々の物語。
登場人物もそれぞれ、
自分に適した範囲内で
仕事に情熱を注いで行きます。
辞書を作るといくことの不安と希望、
そして多大な困難さ。
単語の選択基準、語釈、作例の文章、頁数、
紙質、単語の抜け落ち。
日々変化する言葉。
地味な仕事ながら、
限りのない労苦を伴う作業です。
辞書はこういうプロセスを経て、
作られたているのかと思うと
本当に大変そう!!
言葉がなければ何も始まらない
言葉の危うさ、言葉の大切さ、
言葉に対しての愛がいっぱい。
舟とは豊穣なる言葉の、
広くて深い大海をゆく舟、
編むとは、辞書の編纂。
多くの人が安心して、
長く乗ることができるいい舟を作りたい。
その思いで名付けられた『大渡海』という辞書。
これから国語辞典を手にすると
まじめさんのことを思い出すかも…
裏切りや傷つけあいなどが
全くないほのぼのとした物語、
こんな作品もまたいいものです。