日本裁判官ネットワークブログ

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安原さん,ご苦労様でした。

2008年12月06日 | 瑞祥
 我がネットワークの安原さんが,本日NHKの生番組に出演しました。テーマは裁判員制度です。
 まず,安原さんとは関係ないのですが,午後7時半から「あなたは死刑を言い渡せますか」と題して,NHKが行った模擬裁判の様子についてのドキュメントが放映されました。NHKのHPによると,「実際に起きた強盗殺人事件をモデルに、裁判官、検察官、弁護士役をいずれも経験豊富な専門家に依頼し、台本なしで真剣勝負をしてもらった。主役となる裁判員は無作為で選ばれた一般の市民6人。3日間にわたって行った裁判で、彼らは何に悩み、どんな意見を戦わせたのか、そのドキュメントを通じて、裁判員制度で私たちが向きあうことになる現実を浮き彫りにする」とのことでしたが,確かに裁判員になった人たちの苦悩がとてもにじみ出ていた感じがします。評決の前に,各人が庭等で一人でじっと考えていたのが印象的でした。
 午後8時35分からは,安原さんのほか,最高裁,法務省,日本弁護士連合会からも出席のほか,上記模擬裁判に参加した人や一般の市民も参加した裁判員制度の討論会でした。討論では,裁判員制度の意義,当否,問題点等の討論がいろいろな切り口でなされたほか,調書裁判といわれるものの問題点,公判前整理手続・証拠開示等の意義・運用のありかた,捜査の可視化の必要性にも議論が及び,とても有意義な番組だったと思います。コメンテーター的な立場の参加であった落語家の文珍さんのコメントも良かったですね。
 討論ではいろいろな意見がでましたが,その内容については賛否両論があろうかと思います。ただ,言えることは,裁判員裁判の実施が近づいて,市民の皆さんが裁判はどうあるべきか,そして裁判に市民はどうかかわるべきかを真剣に考え初めておられるのではないかということです。これは,制度設計者の予想以上ではないかと思うのです。この気風はとても大事にしたいと思いました。それだけに,裁判員制度が実施から3年後に見直しの検証があるようですので,実際に裁判員裁判に係わった人の声が,何らかの形で公になったり,少なくとも上記検証の際に,生かされることが大事であると切に感じました。たとえば,3年後の検証の際には(法曹三者で検証機関を作るという報道もされています。),守秘義務を解除し,裁判員経験者の経験や実感を,検証機関等に出していく作業は必要ではないでしょうか。そのために立法措置が必要ならば是非考えていただきたいと思います。
 いろいろ感想はあるのですが,安原さんハラハラドキドキだったと思います。ご苦労様でした。(瑞祥)