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賛否両論のようですね。毎日新聞からです。

<裁判員制度>「思想信条に反してまで」と反発も

 どんな場合に裁判員を辞退できるかを定める政令案が24日公表された。ポイントは「思想信条を理由とする辞退」を明記せず、「自己または第三者に身体上、精神上、経済上の重大な不利益が生じると認められる場合」という抽象的な規定を盛り込んだことだ。裁判員を広く集める立場から政令案を評価する意見が出る一方、裁判員制度反対派は「思想信条に反してまで参加させられるのか」と反発している。【高倉友彰、坂本高志】

 ◇職務押しつけ?

 裁判員法の国会審議で政府は「裁判員の職務を行うことが思想信条の自由を侵すような事態は許されない」と答弁し、法務省は「思想信条」を政令で明記するか検討してきた。だが、これを認めれば辞退者が続出して制度が揺らぐ恐れもあり、「精神上の重大な不利益」という表現にとどめた。

 これに従えば、「制度に反対」というだけでは辞退は認められない。「宗教上の理由で死刑を言い渡せない」という場合は、選任手続きの中で裁判官が候補者に質問し、「精神上の重大な不利益」かどうか判断する。

 日本弁護士連合会・裁判員制度実施本部の小野正典事務局長は、個人的見解として「制度に反対というだけで辞退を認めるべきではなく、『重大な不利益』という包括的な規定も必要。妥当な案だ」と話した。これに対し、元大阪高裁判事の生田暉雄弁護士は「裁判員制度を違憲と考える人の辞退を認めるべきだ」と批判。自分の考えと異なる裁判員の職務を押しつけること自体が憲法に反するという考えだ。

 ◇運用に不安の声

 法務省は24日、自民党の司法制度調査会に政令案を説明した。議員から異論はなかったが、運用を不安視する声も上がり、「嫌だというだけで辞退できるのはまずいが、厳しすぎるのもどうか。施行前に判断の仕方や考え方を整理しておくべきだ」などと裁判所に注文する意見が相次いだ。

 裁判官は政令案をどうみるか。

 中堅裁判官は「精神上の重大な不利益」という規定について「単なる『不利益』ではなく『重大な』と限定した点に意味がある。ごく例外的にしか認められないニュアンスだ」と受け止める。ベテラン裁判官は「本番前の模擬裁判や本番での選任手続きで、事例を集積する必要がある。ある程度たてば、辞退を認めるか否かの相場観ができるだろう」と語った。

 ◇中小企業に不安

 政令案では、辞退を認める「やむを得ない事由」として(1)妊娠中や出産直後(2)(転勤などで)現住居が遠隔地にある場合--などが明記された。

 市民団体「市民の裁判員制度・つくろう会」の敷田みほ事務局長は「遠隔地の人の辞退を認める内容だが、中には参加したい人もいるはずで、送迎サービスなどの工夫も検討してほしい」と注文する。

 東京商工会議所は「従業員50人以下の企業の役員・社員は原則として辞退を認めてほしい」と訴えてきたが、政令案に反映されなかった。担当者は「裁判官は中小企業の実情を理解し、柔軟に(辞退を)判断してほしい」と話した。



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