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公開手続に関して裁判官を注意

2007年10月19日 | Weblog
 公開手続に関して裁判官・書記官を厳重注意「処分」にしたとの報道がされています。戒めにしなければならないでしょうね。なお,根拠となっている下級裁判所事務処理規則21条は,各裁判所の長が,事務の取扱及び行状について「注意を与えることができる」との表現になっており,処分性があることは明白ではありませんので,「処分」の用語は避けた方がいいかもしれませんね。裁判官に関しては,憲法78条が「裁判官の懲戒処分は,行政機関がこれを行うことはできない。」とし,裁判所法及び裁判官分限法が,裁判官に対する懲戒の手続を定め,その判断は「裁判」でなされることになっています。今回の「注意」は,裁判でなされたものではなく,こうした懲戒とは異なるものです。
 以下,読売新聞からです。

公開手続き取らぬ判決、裁判官を厳重注意処分
 千葉地裁松戸支部の民事訴訟で第2回口頭弁論の公開手続きが取られないまま判決が言い渡された問題で、千葉地裁(中山隆夫所長)は18日、担当した同支部の納谷肇裁判官(53)を厳重注意処分とした。

 納谷裁判官の指示で公開されたとの内容の調書を作成した女性書記官についても注意処分とした。

 処分は、下級裁判所事務処理規則に基づくもの。納谷裁判官は昨年12月、土地賃借を巡る民事訴訟で、非公開の弁論準備手続きから公開が原則の口頭弁論に移る際、書記官を同席させるなど必要な手続きを取らなかった。控訴審で原告側が手続きの不備を申し立て、東京高裁が5月、「公開法廷で弁論終結の手続きを行わないまま判決を言い渡したのは違法」として審理を差し戻していた。