日本裁判官ネットワークブログ
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1 私は硬式テニスをもう35年もやっている。遊びテニスなので余り上手くはない。ストレス解消と健康にはかなり役に立っている。私はスポーツは得意なので,本気でテニスを上達する気になっておればもっと上達できただろうと思うが,その気にならなかったのは多少不思議な気もする。最大の理由はこれまでの人生で,仕事が忙し過ぎたためではないかと思う。余り本気で一つのスポーツに打ち込む気にはなれなかった。加えて大学では卓球部であったし,職場のソフトボール大会では何回も優勝ピッチャーになるなど案外活躍したり,水泳も好きだったりで,テニスに打ち込む余力はなかったということであろう。
2 35年前に,当時婚約者であった妻と一緒にテニスのラケットを購入した。司法試験に運良く一緒に合格して間もない頃である。以来テニスとの付き合いは長い。今でも土,日に妻と2人で壁打ちに出かけたり,コートを借りて2人でテニスをしたり,所属しているテニスクラブに出かけて,メンバーと遊び試合をすることもある。年に10回くらい法曹テニス大会に参加している。
3 ところが,私は15年ほど前に「正常眼圧緑内障」なる眼の病気に罹患し,眼科医院で治療を続けてきた。医師は私が強度近視であることが原因だろうと言われている。症状は徐々に進行しており,視野の一部が欠けて行く。左眼は余り不自由を感じないが,近視の度が強い右眼は,視野の中に見えない小さな島があり,テニスボールが一瞬消えるのである。心眼ということでもないが,消える魔球と戦うのは容易ではない。
4 一時期本気でテニスからの引退を考えたこともある。試合は大体ダブルスなので,ペアーに迷惑をかけることになる。ところがこれも不思議な伊達効果で,最近引退しないことに決めた。逆にもっと上達してやろうと考えるようになったのである。消える魔球も,どうやら顔の角度を少し変える工夫で,かなり見え易くなることが分かってきた。少々見えにくくてもクヨクヨせず,練習量でカバーできるのではないか。十分な練習もしないで落ち込むのは愚の骨頂というものである。見えにくいことで落ち込むのと,少々見えにくくても練習量でカバーしてやろうと前向きに考えるのとでは,気分が全く異なる。物事は気持ちの持ち方次第で随分感じが違うものだと実感した。これはテニスに限ったことではあるまい。何ごとにも前向きな姿勢が大切だということであろうか。
5 ウイークデイに練習することは困難であるが,土,日の壁打ちや遊び試合を大幅に増やして,テニスをもっと上達して,皆さんを驚かせることにした。現実にはどうか知らないが,映画では盲目の剣士だっているし,そういえば盲目の法律家だっている。人間というのは不思議な生き物であるから,その心構え次第で,不可能を可能にすることができるかも知れない。まして私はまだ盲目ではなく,仕事もできれば,車の運転もできるのである。
6 かくしてまた,新たな決意で新たな努力をすることになった。どのような結果になるかは分からないが,頑張ってみよう。そういえば私の人生の目標の中に,かくしゃくと生きて90歳までテニスをするという項目があったのをスッカリ忘れていたようで,反省しきりというところである。(ムサシ)



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