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ETV特集

2009年10月21日 | 瑞祥
 先週11日の日曜日夜10時から,NHK教育テレビで,ETV特集「死刑囚・永山則夫ー獄中28年間の対話」(http://www.nhk.or.jp/etv21c/backnum/index.html)というドキュメンタリー番組の放送があった。
 45歳位から上の世代の人間には,事件の発生や裁判の経過などで,この死刑囚の名前を聞いたことがある人が多いのではないだろうか。特に法律を学んだ人間にはそうである。自分の職務からしても,興味深い内容と思い見てみたが,1時間半の放映の間,テレビ画面に釘付けになった。一言で言うと,とても重い内容であった。
 永山則夫死刑囚は,昭和44年,4人の被害者をピストルで射殺し,19歳で逮捕され,平成9年に死刑を執行されるまでの28年間,獄中にあった。その間,多くの対話を繰り返していたようで,獄中結婚もしていた。ドキュメンタリーは,その対話を中心にしたもので,獄中結婚した女性も登場していた。この女性は,従来は表に出なかったと紹介されていた。もっとも,こうした人たちの他にも,被害者側の人も紹介し,その声も番組に直接入れるべきだったとの意見も当然あろうかと思われる。
 永山則夫死刑囚の事件では,第一次上告審判決で,死刑事件についてのいわゆる永山基準(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/E8A6053B84A1F5A949256A850030AA1F.pdf
)が作られ,同判決は今も実務上の影響力が大きいといわれる。事柄の性質上,この事件やその裁判を語ることは,職務上差し控えた方がよいと思われるので,ドキュメンタリーの中身に入っての詳しい論評は避けるが,番組が終わってから,いろいろなブログを覗いてみると,このドキュメンタリーに触れている人が実に多いのに驚いた。硬派の番組であったが,見ていた人は多かったのだと思われる。これも,裁判員裁判の実施で,特に重大事件について,刑事裁判への関心が高まってきているためであろうか。
  ETV特集は,基準ははっきり知らないが,時折再放送される。「死刑囚・永山則夫ー獄中28年間の対話」も再放送されるのではないだろうか。