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株式会社NTTデータ経営研究所というところが、司法のIT化についてレポートを出しています(http://www.keieiken.co.jp/monthly/2006/0605-2/index2.html
)。とても興味深いものです。今後この分野での検討は進むでしょうね。同レポートから、諸外国の司法分野でのIT化の進展について紹介します。(瑞祥)

たとえば、米国では、連邦・州レベルの裁判所において、1990年前半から司法分野におけるIT化の取り組みが開始されている。その結果、現在では「オンライン情報公開」「Case Management(裁判所事務管理システム)」「e-filing(電子申請)」「ハイテク法廷」などのシステムが構築され、ITが積極的に活用されている。具体的には、「オンライン情報公開」によって、訴訟事件に関する情報をネットワークを介して瞬時に入手可能になったり、裁判所からの通知をメールにて迅速に受理可能になったり、当事者同士が同時に事件の関連情報を閲覧可能になったりしている。また、「Case Management」「e-filing」によって、弁護士は24時間365日書類提出が可能になったり、裁判手続きにおける対応が迅速化されたりしている。こうしたIT化は、裁判手続き所要時間の大幅な短縮、紙代・交通費・郵送費の削減、迅速な情報収集(業務の効率化)、手続きの簡便化などの効果を利用者にもたらしている。
他方、オーストラリアにおいても、eCourtと呼ばれる司法分野におけるIT化への取り組みが、2000年代に入り連邦・州レベルにおいて開始されている。オーストラリアでもオンラインによる訴状提出や手数料のネット決済機能をはじめ、電子公判、法廷へのテレビ会議導入など、米国と同様のサービスが展開されている。
さらに、アジアの中では隣国の韓国がITを活用している。韓国では、法律事務所がインターネットを介して法律相談を行い、事件を迅速に解決する一方、事件の受任に逆オークションを取り入れ、弁護士が事件を受任する新しいスタイルが取り入れられている。また、韓国の大法院(最高裁)のウェブサイトには、法令、判例、訴訟手続き、各種書式などの法律情報、裁判進行状況、各種競売情報、商号検索などの情報が提供されている。


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