Medエッジ-2015年4月21日 6:00 AM
脳の画像診断で機能改善を確認
チョコレート飲料やココアなど、フラボノールを多く含むカカオを多く含んだ飲み物を飲むと、60歳前後の人の記憶力を30歳から40歳の水準まで改善させる可能性があるようだ。
脳の画像診断で効果を検証した研究報告が出ている。
米国コロンビア大学を含む研究グループが、神経分野の国際誌ネイチャー・ニューロサイエンス2014年12月号で報告した。
ポリフェノールを温存したカカオ
研究グループは、チョコレートに含まれるポリフェノールの一種、フラボノールに注目した。
さまざまな植物に含まれるフラボノールは、体の細胞が活性酸素と闘うのを助ける強力な抗酸化物となっている。体が活性酸素を除去しないと、たんぱく質や脂質、遺伝子情報といった重要なまでが損傷する可能性がある。
活性酸素は、通常の細胞活動のほか、たばこの煙などの環境汚染物質にさらされると発生する。
フラボノールはお茶や赤ワイン、ベリー類やカカオ、チョコレートなどから取ることができ、カカオの苦み成分となっているのがフラボノールになる。
カカオから製品を作る過程で、発酵や焙煎などの処理によりフラボノールが失われるのは問題になる。
最も含有量が多いのは「アルカリ化処理(高温処理して酸味を減らす)」をしていないカカオ粉末。次いで、甘くない料理用チョコレート、ダークチョコレート、ミルクチョコレート、チョコレートシロップの順にフラボノールが減る。
研究グループは、フラボノールが失われないように特別に処方したカカオ飲料、ごくわずかのフラボノールしか含まない別の飲料のどちらかを50~69歳の37人に3カ月間飲んでもらい、試験の前後に脳のMRI画像診断と記憶テストを行って比較した。
それぞれフラボノールを取った量は900mg/日と10mg/日に相当している。
脳内の血流を変える
その結果、フラボノールを多く取っていたグループは脳の機能と記憶力が改善していた。
試験前は平均して一般的な60歳ほどの記憶力だったところ、試験後には30〜40歳の記憶力に近くなっていた。MRI画像診断でも機能改善が測定された。
他の複数の試験でも、フラボノールを多く含む飲み物が脳内の血流を変えると判明。脳内の血管損傷の治療に使用できる可能性まで示されていると説明している。
フラボノールは心臓や血管の病気につながる高血圧などの危険因子を低減し、インスリン感受性を改善し、血小板の活動を調節すると報告されている(血圧上昇を「エピカテキン」が抑える、ココアや緑茶の成分http://www.mededge.jp/b/heal/11751)。血栓リスクの低減と血管壁の上皮細胞の活動改善をもたらす。
パナマのクナ族という先住民族は、フラボノールに富むカカオを日常的に取っているため、高血圧、心臓や血管の病気、がん、糖尿病が並外れて少ないと知られている。
「より多人数を対象とした研究を行って、この結果や有害影響がないことなどを確認する必要があるものの、フラボノール豊富なカカオ飲料が大量生産できれば、健康に大いに有益」と研究グループは指摘している。
文献情報
Chocolate’s flavonols good for the mind. The University of Texas Medical Branch Newsroom. 2015 Apr 8.
http://www.utmb.edu/newsroom/article10410.aspx
Brickman AM et al. Enhancing dentate gyrus function with dietary flavanols improves cognition in older adults. Nat Neurosci. 2014 Dec;17:1798-803.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25344629
http://www.mededge.jp/b/heal/11941
脳の画像診断で機能改善を確認
チョコレート飲料やココアなど、フラボノールを多く含むカカオを多く含んだ飲み物を飲むと、60歳前後の人の記憶力を30歳から40歳の水準まで改善させる可能性があるようだ。
脳の画像診断で効果を検証した研究報告が出ている。
米国コロンビア大学を含む研究グループが、神経分野の国際誌ネイチャー・ニューロサイエンス2014年12月号で報告した。
ポリフェノールを温存したカカオ
研究グループは、チョコレートに含まれるポリフェノールの一種、フラボノールに注目した。
さまざまな植物に含まれるフラボノールは、体の細胞が活性酸素と闘うのを助ける強力な抗酸化物となっている。体が活性酸素を除去しないと、たんぱく質や脂質、遺伝子情報といった重要なまでが損傷する可能性がある。
活性酸素は、通常の細胞活動のほか、たばこの煙などの環境汚染物質にさらされると発生する。
フラボノールはお茶や赤ワイン、ベリー類やカカオ、チョコレートなどから取ることができ、カカオの苦み成分となっているのがフラボノールになる。
カカオから製品を作る過程で、発酵や焙煎などの処理によりフラボノールが失われるのは問題になる。
最も含有量が多いのは「アルカリ化処理(高温処理して酸味を減らす)」をしていないカカオ粉末。次いで、甘くない料理用チョコレート、ダークチョコレート、ミルクチョコレート、チョコレートシロップの順にフラボノールが減る。
研究グループは、フラボノールが失われないように特別に処方したカカオ飲料、ごくわずかのフラボノールしか含まない別の飲料のどちらかを50~69歳の37人に3カ月間飲んでもらい、試験の前後に脳のMRI画像診断と記憶テストを行って比較した。
それぞれフラボノールを取った量は900mg/日と10mg/日に相当している。
脳内の血流を変える
その結果、フラボノールを多く取っていたグループは脳の機能と記憶力が改善していた。
試験前は平均して一般的な60歳ほどの記憶力だったところ、試験後には30〜40歳の記憶力に近くなっていた。MRI画像診断でも機能改善が測定された。
他の複数の試験でも、フラボノールを多く含む飲み物が脳内の血流を変えると判明。脳内の血管損傷の治療に使用できる可能性まで示されていると説明している。
フラボノールは心臓や血管の病気につながる高血圧などの危険因子を低減し、インスリン感受性を改善し、血小板の活動を調節すると報告されている(血圧上昇を「エピカテキン」が抑える、ココアや緑茶の成分http://www.mededge.jp/b/heal/11751)。血栓リスクの低減と血管壁の上皮細胞の活動改善をもたらす。
パナマのクナ族という先住民族は、フラボノールに富むカカオを日常的に取っているため、高血圧、心臓や血管の病気、がん、糖尿病が並外れて少ないと知られている。
「より多人数を対象とした研究を行って、この結果や有害影響がないことなどを確認する必要があるものの、フラボノール豊富なカカオ飲料が大量生産できれば、健康に大いに有益」と研究グループは指摘している。
文献情報
Chocolate’s flavonols good for the mind. The University of Texas Medical Branch Newsroom. 2015 Apr 8.
http://www.utmb.edu/newsroom/article10410.aspx
Brickman AM et al. Enhancing dentate gyrus function with dietary flavanols improves cognition in older adults. Nat Neurosci. 2014 Dec;17:1798-803.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25344629
http://www.mededge.jp/b/heal/11941