現代ビジネス-2015年04月25日(土)
(写真)一部のイヌイットは、世界各国に連れ去られた〔PHOTO〕gettyimages
カナダの先住民族、イヌイットの骨格標本が、フランスの「人類博物館」の収納庫で数点見つかった。それらは、1880年代にカナダ北東部で暮らしていたイヌイットたちのものだ。
当時、フランスで客寄せパンダさながらの展示物となるため、8人が連れ去られたというが、多くは天然痘にかかり、この世を去った。そこで、カナダに暮らすイヌイットたちは、同胞の帰還を強く求めている。
人類博物館は、返還に前向きな姿勢を見せており、両国の政府も、交渉を行うことにすでに同意している。だが、事態はなかなか進展していない。というのも、ある問題が解決しない限り、交渉をはじめることができないのだという。
それは、返還された遺骨をどのように扱うか、またどこに埋葬するかを決めるというもの。決められない理由を、イヌイット自治政府の副文化大臣、デイビッド・ラフは、こう説明する。
「『問題を解決するには、すべてのイヌイットに意見を聞かなければならない』という民族特有のルールが残っているのです」
だが、現在のイヌイット政府の不安定な行政では、全員の意見を集めるのは難しい。理想と伝統の狭間に立つ彼らにとって、遺体返還への道は、まだ始まったばかりだ。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42711
(写真)一部のイヌイットは、世界各国に連れ去られた〔PHOTO〕gettyimages
カナダの先住民族、イヌイットの骨格標本が、フランスの「人類博物館」の収納庫で数点見つかった。それらは、1880年代にカナダ北東部で暮らしていたイヌイットたちのものだ。
当時、フランスで客寄せパンダさながらの展示物となるため、8人が連れ去られたというが、多くは天然痘にかかり、この世を去った。そこで、カナダに暮らすイヌイットたちは、同胞の帰還を強く求めている。
人類博物館は、返還に前向きな姿勢を見せており、両国の政府も、交渉を行うことにすでに同意している。だが、事態はなかなか進展していない。というのも、ある問題が解決しない限り、交渉をはじめることができないのだという。
それは、返還された遺骨をどのように扱うか、またどこに埋葬するかを決めるというもの。決められない理由を、イヌイット自治政府の副文化大臣、デイビッド・ラフは、こう説明する。
「『問題を解決するには、すべてのイヌイットに意見を聞かなければならない』という民族特有のルールが残っているのです」
だが、現在のイヌイット政府の不安定な行政では、全員の意見を集めるのは難しい。理想と伝統の狭間に立つ彼らにとって、遺体返還への道は、まだ始まったばかりだ。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42711