今日は「進化」です。いつものようにブログ内ワード検索してみました。「進化」というワードが登場する記事は多くありましたが、タイトルとしての「進化」は初めてです。
「進化」とは生物学的な概念です。ただし、「進化」という概念は生物学の影響を受けたり、それから独立したりして、様々なジャンルで重要な概念となっております。
「進化」という概念は興味深い概念だと思います。
「進化」という概念は石の話題的には地球進化学が主要な話題となるのでしょうが、今日の話題はそうではありません。
先日、毎日の日課となっている鉱物本の新刊チェックを行っていると、ロジェ・カイヨワの「斜線」という文庫本が引っかかってきました。どんな内容か?と思い、すぐに取り寄せようと思いましたが、ロジェ・カイヨワの本は「石が書く」という古書を購入する際に他の本とのセット売りだったので、未読ながら、もしかすると持っているかもしれない、と思い書庫で探しました。すると案の定、ロジェ・カイヨワ書籍セットの中にありました。私は「石が書く」以外の本は石の事が書かれている本だけ分けて、それ以外はチョッと目を通しただけでほとんど読んでいませんでした。「斜線」というタイトルの本に石の事が書かれているとは思ってもいませんでした。
ハードカバーの「斜線」(1978年 思索社 中原好文 訳)はなぜか?今頃、文庫本になったようです。二度買いしないで良かったと思いながら、その本を読んでみました。あまり良い訳文では無いなーと思いながら読み始めると、いきなり「ラマルクの誤謬」という章で複数の鉱物名が出て来ました。ラマルクとは用不用説で評判の悪い進化論のあのラマルクです。その内容はロジェ・カイヨワがラマルクの説の誤りを指摘しながらも暖かい目で見つめているようでした。ロジェ・カイヨワはシュルレアリスムの詩人として出発しましたが、博学であるものの、科学者ではありませんでした。訳文が悪いせいか、言い回しが回りくどく、ロジェ・カイヨワが明確に何を言いたいのか?が分かり難いと思いました。ただ、ラマルクが鉱物進化についても論じていた事や当時の博物学が鉱物をどのように捉えていたかが分かり、ある意味、面白かった、と思います。
「進化」は生物学の概念です。地球進化学という進化の概念で地球史を捉える事には興味がありますが、鉱物進化という概念にはどうしても違和感が残ります。鉱物は生命ではありません。鉱物の世界では、まず、元素鉱物があり、化合物としての様々な鉱物があり、さらにそれらの2次鉱物があり、というような進化?はあるのかも知れませんが、何か変です。そのように考えると人工鉱物は人という進化生物が造った鉱物として「進化」していると捉える事になるのでしょうか?
そういえば、日経サイエンスという雑誌で読んだ鉱物進化論(カーネギー研究所のロバートM. ヘイゼンの仮説)を思い出します。生物が作った多様性という鉱物と生物との共進化説は説得力があったと記憶しております。
もしかすると鉱物も「進化」という概念で捉える事は可能なのかも知れません。
先日、NHK-BSプレミアムの「超常現象」という番組を興味深く見ました。科学的に超常現象を解明しようとする姿勢とそれでも残る謎について興味深く思いました。このような番組をみると、科学という言葉の意味を再度考え直したくなります。科学万能という考え方は科学的ではありません。やはり「超常現象」に対しては、証拠なくして肯定せず、アプリオリに否定しない、という態度が正しいのだ、と思います。
進化論は科学的な仮説だと思いますが、厳密な科学ではありません。それは世界観といえるもののようです。
「進化」の事を考えていると科学とは何なのか?という事を考えてしまいました。