ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

              【お知らせ】

【定休日は毎週水曜日です。】【10月も毎週日曜日は休業します。】【10月19日(土)は店主は終日不在です。店は通常通り営業します。】

◯△▢その一

2012-02-23 12:48:59 | 日記・エッセイ・コラム

昨日は休店日で、前から行きたかった鈴木大拙館に行ってきました。鈴木大拙は金沢出身の世界的な仏教哲学者として有名ですが、私はその著作を読んだ事がありません。鈴木大拙館への興味はその建築環境の方でした。

平日の午前中という事もあって、観客は我々夫婦ふたりの貸切状態でした。

玄関から入り、まず贅沢な内部回廊を通ります。雪景色の庭を見ながら展示空間に入りました。

鈴木大拙の著書や写真が展示してありました。

その写真の中に鈴木大拙と一緒に写っている外国人に見覚えのある顔がありました。私の学生時代に写真で見たことのある顔・・・それはハイデガーの顔でした。「存在と時間」で有名なハイデガーは「実存主義」の先駆者的な哲学者です。「実存主義」は学生時代に少しはかじりましたが、ハイデガーがナチズムに関与していた事を知ってからは興味を失いました。鈴木大拙はハイデガーと交流があったようです。

展示室ではもう一つ発見がありました。それは「色不異空」の書です。まるで江戸時代の禅僧である仙厓の禅画を彷彿とします。仙厓の書「◯△□」は東京の出光美術館にあります。この「◯△□」も学生時代を思い出します。

「◯△□」の意味する事は何か?という問いに対して当時の私は「最も基本的な形の原型」というような解釈をしていたような記憶があります。

それは正解のない多重な解釈が可能なものなのですが、この問いは今でもまとわり付いています。なぜなら鉱物結晶や多面体の世界ではよく現れる形だからです。

余談ですが、その仙厓の禅画のある出光美術館は皇居のお濠に面した帝劇ビルの9階に位置しており、そこの大きな窓越しに見える外の風景は出光美術館の至宝だと思います。この出光美術館の設計者は谷口吉郎さんです。

鈴木大拙館の設計は谷口吉郎さんの息子さんの谷口吉生さんです。

鈴木大拙館の展示室は隣の学習空間に繋がっており、そこからは雪景色の露地の庭が見えました。

その次は外部回廊に出ます。そこには水鏡の庭があり、昨日は雪解けの水滴が無数の波紋を形作っていました。本当の水鏡の庭は鏡の表面のように平らに見えるようです。そのような鏡面のような水面に3分間に一度、丸い波紋が出るような仕掛けがあります。

Img_0699

この水鏡の庭で見る丸い波紋、この円相に禅の世界を見る、このような現代芸術のような装置がこの鈴木大拙館の面白いところです。

この水鏡の庭の上空の空間は金沢市内とは思えないくらいに何もありません。ただ空があるだけです。

私はこの水鏡の庭に映る満月を見てみたいと思いました。それは桂離宮の月見台同様、観月には最適の場所だと思いました。

今日の話題は明日に続きます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

滝石

2012-02-21 11:45:21 | 日記・エッセイ・コラム

いよいよ滝石です。

Dscn3916

?古谷石の滝石

この写真は水石の世界では有名な古谷石です。岩石的には変質粘板岩というのでしょうか、珪質の石灰岩とも言われておりますが、日本列島を形作っている付加体の一部になっている岩石です。幾多の変性作用を受けてきたと思われる石です。

この石はその形状から滝石と呼ばれています。その名の通りで、石灰岩からなる白い部分が滝のように見えます。

この石には二つの滝があり、滝の水は岩山を削っていて、浸食の跡まで見て取れます。

小さな石の中に大きな自然の風景を見る、これはまさに石と人との共同的な文化だと思います。

Dscn3248

Dscn3250

?釜無川石の滝石

この写真は石友のHさんの釜無川石の滝石です。釜無川は富士川のもっとも大きな支流で、この石は石灰岩を多分に含む蛇紋変成岩からできており、色は濃い緑黒をしています。そして白い石灰岩の部分が滝のように見えるところから滝石と呼ばれています。

この石は山頂に橋が懸っており、その形状からイマジネーションの世界に入り込めます。秘境・仙境を思わせる名石だと思います。その深山幽谷の世界には小さな旅人の姿を夢想できますし、さらには何かの絵で見た無数の虎たちがその橋を渡ろうとして谷底に落ちてゆく光景すら見えてしまいそうです。

水石は単なる見立てから成るものではなく、見るひとのイマジネーションを如何に豊かにしてくれるか、という事にあるような気がします。その事は石の方にあるのではなく、こちらの方にあるのだと思います。

静的な石の中に動的な滝の姿を夢想する事、滝石の魅力は尽きません。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

人工の滝

2012-02-20 12:43:49 | 日記・エッセイ・コラム

一昨日、辰巳ダムの放流の事を書きました。Webの動画検索で「辰巳ダム 放流」で探すと何件か出てきました。便利な時代になったと思います。行った気になりました。

また、このブログの「おすすめ」に入れてあるMさんのブログ(635とオトモダチ)を見ると、どうもMさんも昨日、辰巳ダムに行かれたようです。一般公開は18日だったので昨日は放流はなかったと思います。

一昨日、私の名古屋時代の会社の同僚がお店に来てくれました。お店に来る前にこのブログを見たらしく、ブログにあったポルテ金沢のサンクンガーデンの滝の写真を撮って見せてくれました。彼は金沢駅から地下を通ってお店にやって来ました。もてなしドームの地下に行くエスカレーターの右にもガラス板に沿って流れ落ちる滝があります。その流水模様もなかなか美しく、彼は最初、そのガラスの滝の事かと思った、と言いました。

そう言えば、金沢には他にも人工の滝があります。

もちろん兼六園には二つの人工の滝があります。日本庭園には必ず滝があるものです。

私のお気に入りは「美術の小径」の横に流れる人工の滝です。中村記念美術館から石川県立美術館につながる坂道に沿って辰巳用水の分流が滝のように流れています。その渓流のような滝の流れは勢いよく、心地よい散歩道となっております。

人工の滝は美術の世界でも重要です。

すぐに思いつくのは、やはりエッシャーの「滝」でしょうか。あの不可能立体上で流れる滝は永遠に流れ続けています。昨年、エッシャーのポップアップ絵本が出版されました。エッシャーの作品の立体化は興味深々でしたが、すばらしいページが多い中でも、さすがに「滝」だけは完成度がイマイチだったと思います。それは単なる立体化以上の技が必要で、ポップアップ化する難度は高いと思います。

もう一つ、2010年に豊田市美術館の「知覚の扉」という展覧会で見た・体験した小谷元彦さんの「インフェルノ」という作品です。この作品は滝の映像が映っている部屋の中で、上下に無限に続く滝の中に入る、という作品です。芸術としての人工の滝、貴重な体験をしました。

石と滝とのテーマでは何と言っても滝石です。それは次回の話題とします。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

氷6

2012-02-19 10:45:22 | 日記・エッセイ・コラム

今の外の気温は氷点下です。住んでいるマンションの駐車場はツルツルでした。いったんは融けた雪も氷という岩石に姿を変えていました。

昨日の話題に続き、今日は流水について書こうと思っていましたが、氷の話題に変更します。

今年の冬はやっぱり寒いです。何年か続いていた暖冬に慣れてしまっていたせいか、寒さが身に沁みます。

しかし、数年前は確かに暖冬だったと思います。

私は数年前に岐阜県の氷点下の森に行った事があります。氷点下の森は人工的に水を凍らせて氷の造形を造った観光地です。そこで見た氷の造形は太陽の光に当たってブルートルマリンやアクアマリンのような色をして、非常に美しかったです。そしてそこの観光の目玉はシャボン玉を凍らせるイベントでした。

私はTVでシャボン玉が氷る映像を見たことがあり、それを直に見れると思って期待しておりました。ただ数年前に氷点下の森に行った時は暖冬だったせいか、氷点下にならず、シャボン玉を凍らせるイベントも中止でした。残念でした。

私は冬の風物詩である樹氷もまだ見たことがありません。

オホーツクの流氷もまだ見たことはありません。

冬ならではの楽しみはまだまだあると思います。

氷ですぐに思い付くことはウィスキーのオンザロックでしょうか。鉱物マニア的にはウィスキーグラスの中の琥珀色の液体と透明な氷のコンビネーションは好ましいものです。特にクラックが入った氷にはレインボーが入っている事があります。それはまるでレインボー水晶かと思ってしまう位に似ています。また南極の氷で作ったオンザロックがあります。それはパチパチと音をたてながら融けて行きます。それは何千年前の空気なのかも知れません。氷に閉じ込められた過去の空気、何となくロマンを感じてしまいます。

私はまだ行った事がないのですが、東京の西荻窪に不定期に鉱物バーが現れるそうです。

一度行ってみたいものです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ダムの放水

2012-02-18 11:16:54 | 日記・エッセイ・コラム

今朝の北国新聞のWeb版で辰巳ダムの放流の一般公開の記事を見ました。それは「洪水(こうずい)吐(ば)き」というそうで、雪景色の中で流れ落ちる流水の写真も出ていました。一般公開は本日の午後4時までとあります。行って見たい気持ちもありますが、お店があるので諦めます。

実は私は2009年のお盆に岐阜県の徳山ダムの一般公開に行った事があります。その近くの根尾の菊花石を買いに行った時の事です。

徳山ダムの放流の流水紋は非常に美しく、魚の鱗のような形をしながら流れていました。その時は持っていたカメラのメモリーいっぱいになるまで動画撮影してしまいました。

私はダムマニアではありませんが、滝好きなので、ダムの流水には興味があります。

何年か前の水道週間に愛知県瀬戸市の馬ヶ城ダムに行った事があります。そのダムの流水紋も美しい魚鱗模様を描きます。その時はビデオカメラ持参でしっかり撮影してきました。

美しいダムと言えば大分県の白水ダムが有名です。白水ダムの映像はWebの動画検索で出てきます。実は私は2010年のゴールデンウィークに九州旅行をしたのですが、ちょうどその時に白水ダムの工事があり、見学を断念した苦い思い出があります。

思えば、石のお店をやっていると毎日鉱物という静物ばかりを見ています。私が滝やダムの流水に興味があるのも不思議な事です。鉱物結晶の立体的な造形美には無条件に見入ってしまいますが、その対極としての流体にも関心が向いてしまいます。

流体には時間の要素が加わり、刻一刻と変化してゆきます。流体の美とはその変化の有様にあるのでしょう。

最後にポルテ金沢にあるお気に入りのスポットを紹介します。それはポルテ金沢の地下一階サンクンガーデンにある滝です。その人工の滝は垂直の壁に沿って流れています。その滝も美しい流水紋を見せております。それは「石の華」のすぐ近くにありますので、是非ご覧下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする