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鉱物の部屋へのいざない

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◯△▢その一

2012-02-23 12:48:59 | 日記・エッセイ・コラム

昨日は休店日で、前から行きたかった鈴木大拙館に行ってきました。鈴木大拙は金沢出身の世界的な仏教哲学者として有名ですが、私はその著作を読んだ事がありません。鈴木大拙館への興味はその建築環境の方でした。

平日の午前中という事もあって、観客は我々夫婦ふたりの貸切状態でした。

玄関から入り、まず贅沢な内部回廊を通ります。雪景色の庭を見ながら展示空間に入りました。

鈴木大拙の著書や写真が展示してありました。

その写真の中に鈴木大拙と一緒に写っている外国人に見覚えのある顔がありました。私の学生時代に写真で見たことのある顔・・・それはハイデガーの顔でした。「存在と時間」で有名なハイデガーは「実存主義」の先駆者的な哲学者です。「実存主義」は学生時代に少しはかじりましたが、ハイデガーがナチズムに関与していた事を知ってからは興味を失いました。鈴木大拙はハイデガーと交流があったようです。

展示室ではもう一つ発見がありました。それは「色不異空」の書です。まるで江戸時代の禅僧である仙厓の禅画を彷彿とします。仙厓の書「◯△□」は東京の出光美術館にあります。この「◯△□」も学生時代を思い出します。

「◯△□」の意味する事は何か?という問いに対して当時の私は「最も基本的な形の原型」というような解釈をしていたような記憶があります。

それは正解のない多重な解釈が可能なものなのですが、この問いは今でもまとわり付いています。なぜなら鉱物結晶や多面体の世界ではよく現れる形だからです。

余談ですが、その仙厓の禅画のある出光美術館は皇居のお濠に面した帝劇ビルの9階に位置しており、そこの大きな窓越しに見える外の風景は出光美術館の至宝だと思います。この出光美術館の設計者は谷口吉郎さんです。

鈴木大拙館の設計は谷口吉郎さんの息子さんの谷口吉生さんです。

鈴木大拙館の展示室は隣の学習空間に繋がっており、そこからは雪景色の露地の庭が見えました。

その次は外部回廊に出ます。そこには水鏡の庭があり、昨日は雪解けの水滴が無数の波紋を形作っていました。本当の水鏡の庭は鏡の表面のように平らに見えるようです。そのような鏡面のような水面に3分間に一度、丸い波紋が出るような仕掛けがあります。

Img_0699

この水鏡の庭で見る丸い波紋、この円相に禅の世界を見る、このような現代芸術のような装置がこの鈴木大拙館の面白いところです。

この水鏡の庭の上空の空間は金沢市内とは思えないくらいに何もありません。ただ空があるだけです。

私はこの水鏡の庭に映る満月を見てみたいと思いました。それは桂離宮の月見台同様、観月には最適の場所だと思いました。

今日の話題は明日に続きます。

コメント
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