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鉱物の部屋へのいざない

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人工結晶1

2012-05-27 11:35:28 | 日記・エッセイ・コラム

今日は人工結晶について書きます。

人工結晶というとすぐに思い浮かぶのは人工水晶でしょうか。人工水晶は電子部品として産業用に造られ、現代生活では日常的になくてはならないものとして使われております。

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ロシア ノボシビルスク産の人工水晶

上の写真は鉱物標本市場で入手した人工水晶です。オートクレーブで造られた産業用の無色透明な人工水晶とは違った印象です。独特な三角形の多面体構造と透明感のある濃い緑色が魅力的です。もしかするとこれは宝飾用の人工水晶かも知れません。

人類の文明は石の文明と言っても過言ではなく、石器時代から始まり、青銅器、鉄器、等を経て現代でも様々なハイテク分野で石達は活躍しています。人類の進化は石と共にあったとも言えます。

人工結晶はそのような人類の進化の結果、生まれてきたとも言えます。それらは、まずは生活を向上させ、実用的な用途に使われてきました。それらはさらに人造宝石のような美のジャンルにまで拡張していきました。人工結晶の技術は今後もさらに進化を続けていくと思います。

鉱物結晶の美はその結晶の美しさでもあります。それは物質の美であり、天然でも人工でもその美しさは変わりません。

人工結晶を自らの芸術作品として作っている人がいらっしゃいます。鉱石ラジオで有名な小林健二さんです。小林健二さんは美術館や画廊でそれらの人工結晶を展示されています。鉱物好きとしては小林健二さんの活動は無視できない活動です。

私は何年か前の福井市立美術館での展覧会や東京の神保町の画廊での個展に行った事があります。小林健二さんの造られたそれらの結晶は天然の鉱物の結晶に劣らずその存在感を主張しておりました。

鉱物標本市場では人工結晶は敬遠される傾向がありますが、それらが美術館や画廊で展示されると芸術作品としての存在感が出てきます。不思議な事です。その昔、マルセル・デュシャンが「泉」と題してレディ・メイドの男子用小便器を出展したという美術史上の事件がありましたが、マルセル・デュシャンは何かを作って作品にした訳ではなく、作ったのは作品名だけでした。人工結晶の作品の場合は物質の結晶作用を利用して、しっかり人が造った芸術作品だと思います。

人工結晶は人が無から何かを造るのではなく、物質の結晶作用と偶然性を利用して、人の意志が造るものです。

人工結晶、明日に続きます。

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