見つめ合う魔女といんちき魔術師オズ(ジェームズ・フランコ)。
「何が見えるの?」
「ぼくが欲しかったものすべてだ。偉大さ(greatness)や、強さや」
「あなたは最初から持っていたのよ」
「ぼくが?」
「もっとすばらしいもの。善なる心(goodness)を」
のわぁ。ちょっとキーを打ちながら恥ずかしいけれど、映画が素晴らしかったので(中年男なのに)陶然。
ファンタジー映画にはちかごろ食傷気味だし、「オズの魔法使い」の前日譚といっても、あの名作を見ていないので(マジ)、さほど楽しみだったわけでもない。
でもね、三人の魔女に、「テッド」でセクシーな(淫靡とも言う)ところを見せたミラ・クニス、「スターリングラード」でのお尻丸出しが忘れられないレイチェル・ワイズ、そして「マリリン」なミシェル・ウィリアムズをそろえているとくれば……非常によこしまで不届きな動機をもとにチケットを買いました。で、大正解。
思えば監督のサム・ライミは「スパイダーマン」シリーズをのぞけば、いやあれも含めて変な映画ばかり撮ってきたわけじゃないですか。
だからこのディズニーの超大作においても、微妙なチープさをからめつつ、なぜここでミラ・クニスに皮のパンツをはかせるんだ!どうして魔女みんなが胸を強調していて、どうしてこんなにキスシーンが多いんだっ、やってることは不倫だぞと苦笑。Gレイティングをせせら笑っているかのよう。
きわめつけは陶器の少女。魔物に襲われて足が欠けた状態で登場し、オズの接着剤で回復(フロイトあたりが診断したら危ない結果が出そう)した彼女の性格は徹底して子ども。お好きな方にはたまらない存在だろう。ライミがこの超大作に、にやつきながら淫している姿が目に浮かぶ。さすが、わたしと同学年です。
なんか病的なことばかりとりあげたけれど、魔女がグリーンゴブリンのように飛翔するスピード感や、アバターばりの異世界描写など見どころ満載。近くに座った外国人のおばさんは最初から最後まで笑いっぱなし。ぜひ。ぜひぜひ。