ある事情をもった母子3人が母の故郷に帰ってくる。小学校卒業と同時に転校した姉は必死で新しい学校になじもうとする。毎日、油断できない。浮いてはいけない、目立ってはいけない。いくら成績がよくても満点連発はまずい。ようやく見つけた友だちの気持ちを徹底的に忖度し、関係が切れないように常に計算している。
小学生の弟は、しかしこの町に来てから
「ぼく、知ってる」
と予言めいたことを口にするようになる。まずい。このままではわたしたち親子が異物であることが露わになってしまう……主人公の少女の学校での“戦い”と、母子の生活がみごとにシンクロしている。
学校に勤める身として、こうしたストーリーなので読み進めるのがちょっときつい場面ももちろんある。そのきつさは版元が主張するように「ボトルネック」の肌合いに近いかも。
しかしすべての描写がラストのどんでん返しに集約するのだ。おみごと。再帰的、というタイトルがここで生きるのかあ。
ちょっとネタバレになりますが、これを読んでから島田荘司の「アルカトラズ幻想」(伊坂幸太郎絶賛)を読むともっと趣深いと思います。理由は言えません。
![]() |
リカーシブル 価格:¥ 1,680(税込) 発売日:2013-01-22 |