カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
講演依頼等連絡先は、tenki@air.ocn.ne.jpへどうぞ

再び強い冬型 日本海側では軒並み大雪 九州でも積雪 各地で強風被害 関東では典型的な強風発生パターン

2010-01-13 22:58:24 | インポート

①1月13日9時の天気図 気象庁HPより引用

10011309

②1月13日9時気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

Z__c_rjtd_20100113011

③1月13日9時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

20100113090000

1月13日は、本州付近で冬型気圧配置が再び強まって、上空には強い寒気が流れ込んできました。

このため、日本海側では、あちこちで大雪となり、南国九州の平野部でも降雪となりました。

長崎で9cm 熊本で7cm 鹿児島でも5cmの雪が積もり、鹿児島では平成17年12月以来4年ぶりの大雪となりました。

また、引用図①より、全国的に等圧線が混んで風が強まり、新潟県佐渡の相川では40m 同じく新潟県佐渡の両津では37・8m 新潟空港では35・5mもの最大瞬間風速を観測し、10分間の最大風速でも前述相川では、30mを超え、まるで大型台風が襲来したような暴風を観測しています。

各地で、鉄道や航空機等に運休や欠航など生じ、看板が飛んだり、建造物が破損したりの被害が出てしまいました。

東京都内多摩地区八王子市内では、13日昼前に、工事現場の大型クレーン車が突風を受けて横転する被害がでましたね。

でも、13日の事例は、関東平野各地で強風が吹き荒れやすい典型的なケースですね。

引用図②より、13日9時現在、本州中部上空5500m付近を、顕著な正渦が通過中で、この正う図移流域に当たる三陸沖~関東東海上と、上空1500m付近の風向が合流する北陸地方沿岸では、上空3000m付近では顕著な上昇流域(斜線部表示)となっています。

当該上昇流域のすぐ西隣の関東地方上空3000m付近には、逆に下降流域となっています(引用図②の下側)。これは、前記三陸沖~関東東海上と、上空1500m付近の風向が合流する北陸地方沿岸では、上空3000m付近での顕著な上昇流域の間に入り、力学的に下降気流が卓越するようになってと考えられますが、関東地方上空3000m付近下降流が強まると、関東平野には、山越えのおろし風が強まると言う鉄則があります。このため、関東平野各地では、関東平野をとりまく山脈から、山越えおろし風が北西~西より風(やや変則的ですが)となって吹き込んできたため、関東平野各地で強風となりました。

さらに、上空3000m付近の上昇流域のすぐ後面(関東東海上あたり)に入ると、山越えおろし風発生開始となりますが、当該山越えおろし風発生開始直後には、気流が蛇行し乱流となるもの。関東平野では、山越えおろし風発生直後の13日昼前に、前記した八王子市内の大型クレーン車横転事故がありましたし、鉄道各線で、運行中止など、ダイヤが大きく乱れる要因となったわけです。


東京でも初雪を観測

2010-01-12 13:36:19 | インポート

①1月12日9時の天気図 気象庁HPより引用

10011209

②1月12日9時現在の茨城県館野のエマグラム図(700hpa※上空およそ3000m より下側) オハイオ州立大学HPより引用。

2010011200_47646_stuve700

1月12日は、本州付近には、西から低気圧や前線を含む気圧の谷が進んできました。

このため、本州南岸沿いの地域では軒並み雨や雪となっています。

関東平野には、件の、北東気流も入り込んで、朝から気温が上がらず、気象庁のある東京大手町では、12日昼頃から、降り続いている雨に雪が混じり始めて、初雪を観測しました。

気象庁の統計では、雪の結晶が観測されれば雪が降った とみなされますから、正直、初雪と言ってもピンとこないかもしれませんね。

それに、引用図②より、12日9時現在、茨城県館野では、上空1500m付近で、約1℃。上空1000m付近~1500m付近での風向が南~南西となっています。関東平野の広範囲に降雪となるには、当該、館野での上空1500m付近の気温が-3℃以下、上空1000m付近~1500m付近の風向がおおむね北東となるのが目安ですから、今回は、関東平野広範囲に降雪となるには、いささか寒気の流入や勢力がパンチ不足と言った感じですね。


大雪の範囲は西日本へ 冬型気圧配置時は等圧線走向に着目!

2010-01-07 23:48:14 | インポート

①1月7日9時の天気図 気象庁HPより引用

10010709

②1月7日9時気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

24

③1月7日21時現在前24時間降雪量分布図 気象庁HPより引用

241721

本州付近では、冬型気圧配置が続いていますが、1月7日は、大雪の中心は西日本の山間部中心となりました。

1月7日21時までの24時間に 引用図③参照。鳥取県大山で50cm 島根県横田で41cm 国道54号沿いの島根広島県境付近の島根県赤根で35㎝と、西日本山間部(特に山陰地方)中心に大雪となったのが特徴ですね。

引用図①と、本ブログ平成22年1月1日の天気図と比較すると、本日1月7日は、等圧線の走向が日本海北部で北東~南西、日本海中部ではほぼ真北になっていることが判ります。

一口に冬型気圧配置と言っても、本州付近(特に日本海)での等圧線の走向如何で、雪(雨)が集中する地域が決まってくるものです。

今回の1月7日の様に、等圧線の走向が、日本海北部で北東~南西、日本海中部ではほぼ真北になっている場合は、上空5500m付近では、等高線が北海道のすぐ西で くの字型となり 正渦度移流域の顕著な部分が、西日本上空を北西~南東に分布しているもので、こう言う状態では、上空の寒気も、主として日本海西部から西日本上空へと流れ込んでくるようになります。

そして、もうひとつ、滋賀県内に目を向けますと、滋賀県内では、琵琶湖から県南東部方向に吹く気流が卓越し、普段比較的雪の少ない、県南部でまとまった降雪となるもので、県内を走る名神高速道路の関ヶ原トンネル~竜王インターチェンジの区間では、有名な ゲリラ豪雪にも舞われやすくなるのが特徴ですね。

事実、これまで、殆ど積雪を観測しなかった、滋賀県内彦根では、7日21時までの24時間に22cmと、まとまった降雪を観測しています。


お隣の韓国では大雪の所も ソウルで25cmの降雪

2010-01-04 15:10:55 | インポート

①1月4日9時の天気図 気象庁HPより引用

10010409

②1月4日9時気象庁発表のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

11

昨年末から本州付近で続いていた冬型気圧配置は、次第に西から緩み始めて、替わって、朝鮮半島には低気圧が進んできました。

この低気圧、引用図①と引用図②の上側図より、渦管が西から北西方向へ傾斜しており、発達中であることが判りますが、お隣の韓国では、この低気圧の接近通過に伴って4日未明から雪となった箇所が多く、中部や北部では記録的な大雪となっています。

韓国ソウルでは、4日12時までに25cmの積雪を観測し、41年ぶりの大雪となりました。

この大雪のため、ソウル市内では鉄道や道路が麻痺し、ソウル金浦空港では、午前中、航空機の離着陸が不能となって、国内線の全便や羽田や関空からの便が欠航となったとのことです。

引用図②の下側図より、4日9時現在、上空3000m付近の上昇流で顕著な部分は、丁度韓国ソウル周辺にあって東方向に進んでいるものと見られ、ソウル周辺の大雪は峠を越えつつあると思われます。また、上空1500m付近の-6℃の等温線は、ソウルの南のスワン(水原)付近から南東部ポハン(浦項)付近を通っており、この、上空1500m付近の-6℃等温線より南側に入った地域の、プサン(釜山)やモッポ(木甫)ではみぞれや雨であったと思われ、降雪の影響は皆無のようですね。

ただ、4日14時の、韓国インチョン(仁川)空港の航空実況で気温、天気、視程の部分を解読すると、

気温は-5℃、弱い雪で所により霧、視程は800m~1000mだが悪化しつつある。

とのこと。どうやら、上空1500m付近には南から暖気が入りつつあり、低気圧が次第に発達するものとも思われます。あす5日以降、日本付近でもこの低気圧の動向から目が離せないようですね。


強い冬型の2010年元日 名古屋でも降雪3cmで交通機関混乱

2010-01-01 18:00:25 | インポート

※本ブログをご覧の皆様 新年おめでとうございます。本年も本ブログをよろしくお願い致します。

①1月1日9時の天気図 気象庁HPより引用

10010109

②1月1日9時気象庁発表のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

11

③1月1日9時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

20100101090000

2010年元日は、本州付近は強い冬型気圧配置で、上空には強い寒気が流れ込んで、北海道から中国地方まで、日本海側では軒並み大雪が降り続きました。

1日15時までの24時間に、群馬県藤原で93cm、他、福島県会津、新潟県中越山間部 長野県北部、岐阜県山間部では、あちこちで50cm以上の降雪を観測しました。

また、ですが、北海道えりも岬や、山形県や新潟県沿岸部、それに、伊豆諸島の三宅島などで、10分間の最大風速で20mを超す(風向はおおむね西よりですが)非常に強い風を観測しています。

④1月1日9時の東海地方周辺レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

20100101090000re

特筆したいのは、前日12月31日夜から、濃尾平野にも日本海からの雪雲が流れ込んで、1日15時までに岐阜で25cm、名古屋でも3cmの降雪を観測し、愛知県尾張西部にも一時、大雪警報が発表されて、中京地区の高速道路の通行止めや東海道新幹線のダイヤに大きな乱れが生じたことですね。

本ブログで、

Ⅰ:若狭湾上空~濃尾平野1000mから1500mの風向がおおむね北西風~西北西風、

Ⅱ:北陸地方各地で大雪警報クラスの降雪となっている場合

Ⅲ:上空500hpa付近の帯状の正渦度移流域(イコール上空3000m付近の上昇流域)は北陸地方から東海地方周辺へと位置している。

以上3つを満たす気象条件の場合、例外なく、名古屋市周辺でも大雪注意報クラズ(5cm~10cm)以上の降雪量となる

ことを申しましたが、今回1月1日の事例では、1日9時現在、前記項目Ⅰ(1日9時現在の上空1000mでのウインドプロファイラー風向風速値が、福井で西北西16m 鳥取で西北西18mとなっていましたから、同時刻の若狭湾上空1000m~1500m付近では、西北西でおおむね15m以上の風速となっていたことが推測されます。)とⅡ、Ⅲ(引用図②の上側図を参照ください。)の条件全て満たしていることが判ります。

それに、濃尾平野~伊勢湾岸周辺では、若狭湾上空1000mから1500mの風向がおおむね北北西風~西北西風で風速が15m以上、かつ前記Ⅱ、Ⅲを満たす気象条件時を前提として、

<1>若狭湾上空1000mから1500mの風向がおおむね北西風~北北西風の場合・・・・・降雪の中心は濃尾平野西部~三重県北部中心

<2>若狭湾上空1000mから1500mの風向がおおむね北西風~西北西風の場合・・・・・降雪の中心は濃尾平野全域(西北西風が卓越するほど、濃尾平野から愛知県北部山間部~静岡県中部や西部山間部へ及ぶ) 

となる特徴があります。

前記<1>の事例としては、平成7年12月26日(三重県四日市で24時間降雪量53cm)が、前記<2>の事例としては、平成8年1月8日(静岡県西部山間部の熊で8日9時に積雪量20cmを観測)が挙げられます。

今回、1月1日の場合、若狭湾上空1000m~1500m付近では、西北西でおおむね15m以上の風速となっていましたから、引用図④より、降雪の中心は濃尾平野から愛知県北部山間部~静岡県中部や西部山間部へ及んでいたことが判ります。