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カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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台風18号、9日午前中には東海から近畿へ上陸か。今一度、前線や台風で特に降水量がまとまる地域は?

2015-09-09 01:02:35 | 日記
①9月8日21時の天気図 気象庁HPより引用


②9月9日9時の予想天気図 気象庁HPより引用


一昨日、本州のはるか南海上で発生した台風18号、北上を続けていて、このままですと、明日9日午前中に、東海地方から近畿地等へ上陸する可能性が大きくなってきました。、

台風の進行方向前側にあたる、関東南海上から東海沖にかけて前線が停滞しており、この前線に向かって、台風接近時に定石と言える、台風の周辺から、暖湿流が大量に流れ込んで、前線の活動は活発化しており、関東〜東海〜近畿東部中心に大雨となっており、静岡県の一部では、降り始めてからの総雨量が300㍉を超えて、浸水などの被害も発生しております。

今回の台風、風もさることながら、大雨に対して、とりわけ警戒が必要の様相ですが、ここで、今一度、前線や台風で特に雨量がまとまりやすい地域を列挙してみました。

まず
<前線>

Ⅰ:前線周辺の気流が、地形的特性などで収束しやすい地域・・・・・前線が関東地方通過時、海場からの気流と、関東内陸部の気流とが衝突しやすい、関東地方沿岸部の地域や、温暖前線が西日本の南海上から東海沖へ差し掛かる際に、東海沖で。さらに、寒冷前線が近畿地方を通過中での、京都盆地から大阪平野、さらに大阪湾沿岸地域など。

Ⅱ:前線と、上空3000㍍付近の上昇流とが合流していて、、さらに、下層から地表付近での気流の収束がある場所

Ⅲ:温暖前線、寒冷前線、どの前線もそうですが、前線周辺の上空1000㍍〜2000㍍の気流の流れ込む方向に開いた山の斜面になっている場所や、地形的鞍部になっている地域。


<台風>

Ⅰ:台風を取り巻く螺旋状の雲と、隣接する高気圧の縁を流れる暖湿流に伴う雲とが合流している場所

Ⅱ:台風を取り巻く螺旋状の雲と、前線の伴う雲とが合流している場所

Ⅲ:台風を取り巻く、上空1000㍍から2000㍍の気流の流れる方向に開いた山に斜面にあたる地域と地形的鞍部になっている地域

Ⅳ:台風を取り巻く螺旋状の雲が下層から地表での地形的な特性などによる気流の収束が見られる地域に差し掛かった時

Ⅴ:台風の北西側〜西側より、上空3000㍍付近の上昇流域が接近してきた場合、当該、上空3000㍍付近の上昇流の流れる方向に沿って降水域が発達する。


<高気圧縁辺を流れる暖湿流に伴う降水>

Ⅰ:暖湿流と台風や前線に伴う雲とが合流している場所

Ⅱ:暖湿流の下層から地表付近で、地形的特性などで気流の収束が見られる地域

Ⅲ:暖湿流と、別の上空3000㍍付近の上昇流域とが合流する地域


さらに、前記した項目が複数該当する地域ですと、当該、該当する項目が増えるほど、降水量がより一層まとまりやすいと言えます。


③9月8日21時の日本付近雲画像図
:(赤外画像)


:(水蒸気画像)


大雨発生が懸念される際には、赤外画像や水蒸気画像を参考にしつつ、以上述べた事項を吟味されて、防災活動にお役立ていただければ と思います。

6日夜から7日未明にかけて、千葉県北西部で竜巻発生!

2015-09-08 00:08:37 | 日記
①9月6日21時の天気図 気象庁HPより引用


9月6日21時30分頃、千葉県千葉市中央区今井町(丁度、JR蘇我駅付近)にて、竜巻とみられる激しい突風が発生して、60棟余りの住宅で、屋根が飛ばされるなどの被害が発生した模様です(県警調べより)
このほか、鎌ヶ谷市、成田市などでも、7日未明から朝方にかけて、竜巻とみられる突風得御観測しています。

引用画像①より、突風発生当時、千葉市を含む関東地方南部には、前線が停滞して、前線に向かって暖湿流が大量に流れ込んで、当該前線付近では雨雲が発達し易い状況でありました。

さらに、突風発生地点周辺の詳細な気象状況を考察しますと

②9月6日21時の関東地方周辺、アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用


③千葉県周辺のレーダーエコー合成図 !:9月6日21時20分 :9月6日30分
気象予報士西村氏主催ペパーランド気象センターHPより引用
:


:

6日21時には、東京都心や羽田、および、千葉県内でも木更津や館山あたりでは南〜南西風ですが、千葉市周辺では、東〜南東風となっています。これは、6日20時頃から、東京23区周辺に発達した雨雲がかかっており、千葉市周辺からは、この雨雲に吹き込む気流が入っているものと思われます。丁度、千葉市周辺には、東〜南東風と、南西風とがぶつかり合っている様子が伺いられますね。

その状況下を、引用図③、より、東京23区周辺にかかる発達した雨雲の南東側の東京湾口からか、新たに、雨雲が発達しながら北東進、6日21時30分頃、千葉市周辺を通過中、それも、千葉市周辺で、雨雲の一部が反時計回りに回転している様子もわかります。

東〜南東風と、南から南西風とが千葉市周辺でぶつかり合って、気流の不連続部分を形成しているところへ、雨雲が発達しながら通過、したことが、今回の突風(竜巻でしょうね)の原因となったと言えそうです。

局地的に発生する激しい突風というもの(颪風を除く)は


Ⅰ:周辺の等圧線が混んでいるところへ、地形的に低気圧が発生した個所

Ⅱ:上空の風速が強めであるところや、上昇流と下降流との境目となっている箇所へ、発達した雨雲や雪雲が通過する際に、当該雨雲や雪雲の外縁部

Ⅲ:地表付近で気流の不連続部分が発生している箇所へ、発達した雨雲や雪雲が通過する場合。

が挙げられます
が、とりわけⅡのケースが、ダウンバースト、Ⅲのケースが竜巻やダウンバースト といった、激しい突風を引き起こす原動力となるものです。




前線の微細構造 水蒸気画像よりこんなことが(寒冷前線)

2015-09-05 17:24:26 | 日記
①9月4日15時の天気図 気象庁HPより引用


②9月4日15時の日本付近雲画像図(水蒸気画像図)気象庁HPより引用


③9月4日15時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象予報士西村氏主宰ペパーランド気象センターHPより引用。



9月4日、寒冷前線が日本海から本州を通過を通過し、本州上空には寒気も入ったため、本州各地では大気が非常に不安定になりまして、雷を伴った強い雨が所々で観測されて、兵庫県南あわじ市や東京23区周辺では、竜巻も観測されたりしました。

今回のような、上空に寒気が入り大気が不安定・・・・・などと気象情報で表現される場合、天気図上に前線が解析されている際は勿論、えてして、前線は十分に解析されない場合も多いものですね。そこで、私自身、水蒸気雲画像と天気図(地上天気図ですが)との併用比較をされることをお勧めします。

引用図①②③を比較すると、4日15時現在、①の地上天気図上で、寒冷前線が三陸沖方から関東地方へ差し掛かっており、②の水蒸気画像図上では、地上天気図上の前線の位置はさんで、前線の暖気側で、帯状の白くぼやけた画像域が見られ、その画像域内に、糸状に幾重にも連なる白く輝く画像域が見られます。
寒冷前線の寒気側でも、暖気側ほどではありませんが、帯状に白くぼやけた画像域がみられ、その中には、暖気側ほどではないものの、糸状の白く輝く画像域が見られます


そして、引用図②③より。この、糸状に白く輝く画像域に沿って、発達した降水域が分布している様子がわかります。
そもそも水蒸気画像図上での、白くぼやけた画像域、白く輝く画像域は、中層(上空およそ3000㍍程度)以上の上昇流気を表現するもので、この画像域の白色が、より鮮明に輝くように表現させるほど、当該、中層での上昇流はより強‍くなっている状態を表すということですね。

前線はさんで、寒冷前線の場合、寒気が暖気を押し上げるという構造は、前記の水蒸気画像上で如実に表現されていますが、その中に、とりわけ、上昇流の強い個所が連なっている ということも解りますね。
このような、水蒸気画像上で、糸状の白輝画像域、中層での強い上昇流がある箇所で、上昇流と隣接して強い下降流も存在するわけですので、当該地域周辺では、気流が荒れている地域といえます。航空機の運行には注意を要する地域でもあります。


今回は、寒冷前線通過時の、水蒸気画像図の特徴ですが、温暖前線周辺も、前線はさんで、白く輝く画像域は糸状に幾重にも表現される状態になることは同じですが、またの機会に詳細させていただきます。

台風15号の総括 日本付近で個性ある振る舞い

2015-08-30 18:00:46 | 日記
①台風15号経路図(速報版)気象庁HPより引用


台風15号は、8月25日6時頃、熊本県荒尾市付近へ上陸して、その後、九州北部を縦断、25日昼頃には玄界灘に抜けて、その後、日本海西部へと進んで、翌26日朝には、島根県隠岐の島の北で温帯低気圧へ変わりました。

②台風15号のレーダーエコー合成図(先島諸島周辺)気象庁HPより引用(石垣島測候所の位置を●にて表示)
:石垣島測候所で観測史上最大の、最大瞬間風速71㍍毎秒を観測した頃の、23日21時15分


:石垣島測候所で最大風速47・8㍍毎秒を観測した頃の、23日22時20分


すでに周知のとおり、台風15号自体、非常に強う勢力を維持しながら、先島諸島から東シナ海、そして、九州へと進んだため、進路にあたった、石垣島測候所では23日21時16分に、観測史上最大となる、最大瞬間風速71㍍毎秒(南南西風)を観測して、10分間の最大風速でも、23日22時21分に、47・8㍍毎秒(南西風)を観測しています。

③台風15号の雲画像図(赤外画像図)気象庁HPより引用
:23日21時


:24日21時


:25日9時


:25日21時


ご覧のように、台風15号、九州の南西海上に達するまでは、目がはっきりして、非常に強い勢力を保っている様子がわかります。が、九州へ上陸後の25日9時には、台風を取り巻く雲の形が次第に勾玉型へと変化しつつあり、台風自体、温帯化しつつある様子であることを示しています。そして、25日9時の雲画像を見ると、A で示す、四国沖から紀伊半島付近で、南西〜北東方向へと広がる雲列と、南東〜北西方向へと広がる雲列とが合流しており、この2つの雲列の合流部分を頂点とした ハの字型の雲列が顕著となって、25日21時には、紀伊半島南東部から東海地方へと掛かっています。

ご覧の、雲列の配列の要因は、台風を取り巻く暖湿流と、オホーツク海にある優勢な高気圧の外縁部を流れ込んできた暖湿流との、暖湿流同士の収束の結果ですが、勿論、以前にお話ししましたように、台風を取り巻く発達した雲の列は大雨をもたらし、当該雲列の外縁部では強風をもたらすわけですが、この、ハ の字型雲列が掛かり続けた、三重県内では、総雨量600㍉を超す記録的な大雨になりましたし、愛知県沿岸や三重県伊勢湾岸を中心にして、25日昼過ぎからおおむね南東風の暴風に見舞われて、中部国際空港では、離着陸が不能となり、東海地方、北陸地方、近畿地方では、強風による鉄道のダイヤ混乱が相次ぎました。

このように、台風接近時には、台風取り巻く雲の集団の動向はつぶさに見る必要がありますね。特に、温帯化しつつある状態の台風であれば、この事例のように、台風から比較的離れた地域でも、大雨や暴風に見舞われることがあります。

30日夜の地震、深発地震では最大級!

2015-05-31 00:03:08 | 日記
引用画像は、5月30日20時24分発生した地震の震央と、全国各観測地点震度分布図です。気象庁HPより引用・加工



30日、20時24分頃、小笠原諸島西方沖(北緯27.9度、東経140.8度)の深さは約590kmで、地震の規模を示すマグニチュードは8.5と推定される大きな地震が発生しました。

この地震で、

小笠原諸島母島、神奈川県二宮町で、震度5強

埼玉県春日部市、宮代町、鴻巣市で、震度5弱 を観測

他、関東地方の広範囲で震度4を観測しています。


この地震は、小笠原諸島が位置しているフイリピン海プレートの下に沈み込む、太平洋プレートの内部の深い個所勝ちぐれるようにして破壊されたことで発生した地震と推定されます。

震源に深さが300㌔以上の深さで発生する地震は、深発地震とよばれていますが、今回の地震、太平洋プレート内部で発生した深発地震の中では、昨年5月3日早朝に発生した、伊豆大島近海の地震(マグニチュード7・6)をはるかに凌ぐ、最大級の地震であったといえます。


一般的に、一つの地震には、さまざまな周期の地震波が発生し、地震の規模が大きくなるほど、地震波の継続時間は長くなり、比較的周期の長い地震波が増えて来ることが多くなります。そして、地震波の周期は、長くなるほど、減衰しにくく、より遠方へ伝播するようになりますので、遠方で規模の大きな地震が発生すると、比較的周期の長い地震波がやってきやすくなり、こういった周期の長い地震波、高層建造物の固有周期と合致して、当該高層建造物をことのほか揺らせやすくなります。

このため、東京都内では、今回の地震で、高層建造物内のエレベーターが止まって、混乱した建造物もあるようですね。