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カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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3日未明の鳥島近海の地震、津波地震では?

2015-05-03 07:55:29 | 日記
引用画像は、3日1時51分頃発生した地震の震央位置です。気象庁HPより引用。


3日、1時51分頃、八丈島の南およそ180㌔の鳥島近海の深さはごく浅い個所で、マグニチュード5・9の地震が発生しました。

この地震で、国内の地震観測地点で震度1以上を観測した地点はありませんが、地震発生からおよそ40分ほどした2時31分頃、震源からおよそ北に180㌔離れた八丈島八重根で、高さ50㌢の津波を観測し、気象庁より、伊豆諸島に、津波注意報が発表されましたが、4時10分、津波注意報は解除されるに至りました。

通常、この地震の規模では、震源がごく浅くても、津波は発生しないものですが、この地震の震源地付近は、七島・硫黄島海嶺と呼ばれる、海嶺と言って、地下のマグマが上昇して、その上の地殻の割れ目から湧き出ている地域に位置しています。このため、この地域周辺では、比較的やわらかい地質が分布し、地質内に割れ目など多く、地震発生に伴って、震源地周辺での海底周辺では、地層崩壊などの2次的な地殻の変動が発生しやすいと推測され、このため、当該地殻変動に伴って、予想以上の津波が発生したと私は考えています

地震は、地殻の変動により地震波が発生して、当該地震波が伝搬して地震動を引き起こすものですが、地震に伴う津波は、地震が発生した海底での地殻変動により発生するものです。で、この地震が発生した海底での地殻変動は、地震を引き起こす地殻変動のみならず、地震が引き起こされた結果、2次的に発生する地殻変動(海底での傾斜地の致道崩壊など)も含まれます。
当該2次的の発生する地殻変動は、地震が発生した地域の地層が比較的新しくやわらかい地層がより多区分布しているほど発生しやすく、海嶺と呼ばれ地地域周辺や、海溝近くに付加体(陸地から流れこんだり、海溝でのプレート活動で堆積した堆積物が集まっている地層)が多く分布している地域では、当該2次的の発生する地殻変動発生にうってつけの地域と言えます。


このような原因と、地震波を発生させる地殻変動の加減(滑るような変動だった場合など)で、で、地震動よりも津波が顕著である地震波発生する場合がありますが、こういったタイプの地震を、津波地震 と呼ばれています。今回の鳥島近海の地震、津波地震 だったと私は考えています。

各地で夏の陽気!真夏日のところも!

2015-04-27 23:49:27 | 日記
①4月27日22時までの全国最高気温分布図 気象庁HPより引用


②4月27日9時の天気図 気象庁HPより引用


③4月27日9時のAUPQ35図(※上側は上空およそ10000㍍付近の風向風速分布と気圧300hpaを観測する高度分布図
※下側は上空およそ5500㍍付近の風向風速分布と気圧500hpaを観測する高度分布図です。)気象庁HPより引用。


④4月27日9時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用


4月27日は、ほぼ全国的の晴天に恵まれて、各地で気温が上昇しました。

最高気温は、福島県浪江で32・0℃を観測したほか、北海道十勝地方大津で31・9℃、ほか、帯広、福島、豊岡などで30℃以上の真夏日となり、全国観測地点の半数以上で、最高気温25℃以上の夏日を観測しました。

この、今の時期としては記録的ともいえる暑さですが、

引用図③より、日本付近では、◇シベリアから北海道の北付近 と ◇南西諸島の南から本州南海上にかけて、強風軸が見られます。チベット高原で、偏西風帯が分断されて、日本付近が分断された偏西風帯の間に入り、偏西風帯は、周囲から気流が集まる場所でありますから、分断された偏西風帯の間は、気流が広がる場となることとなりました。

こういった上空気流の場ですと、同時に下降気流を生じさせる場ともなり、この結果、本州付近の上空の気温が上昇したこと、と、引用図④より、北日本上空1000㍍~3000㍍では、おおむね西寄り風となり、とりわけ、帯広の上空2000㍍付近では、市西側の室蘭よりも風速が強めて、こういった状態は、山越えの気流がフェーン現象を引き起こしている証左にほかなりません。


ゆえに27日の各地の暑さですが、
:本州付近上空の下降気流による昇温 と :北日本では山越え気流がフェーン現象を引き起こした
以上の2つの要因が重なったものと
私は考えます。

このような、チベット高原で偏西風帯は分断されて、本州付近が下降気流が卓越する場合、ほぼ全国的に気温が上がり、比較的湿度が低めとなりますから、
カラッとした暑さで、気温の1日の日格差が大きくなる という特徴があります。


事実、各地の気温の日格差ですが、概ね10℃~15℃程度、とりわけ気温が上昇した北日本や内陸の各地では、一部地域で気温日格差が20℃から25℃程度にもなっています。

広範囲で濃霧発生!気圧配置はどうなってる?

2015-03-30 08:19:16 | 日記
広範囲で濃霧発生!気圧配置はどうなってる?

昨夜から今日朝にかけて、本州の広範囲にわたり、所々で濃霧が発生しました。
所々で、視界が100㍍以下まで落ち込み、高速道路での速度規制など、交通機関に影響が生じました。

春先のこの時期、夜間から早朝にかけての濃霧は、よく発生しますが、濃霧発生時の気圧配置、条件を紹介していきましょう。

①3月29日21時の天気図 気象庁HPより引用


②3月30日3時の天気図 気象庁HPより引用


引用図①②より、昨日、本州周辺を気圧の谷が通過し、本州の所々で降雨となりました。

さらに上空では

③3月29日21時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用


④3月30日3時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用


本州付近を気圧の谷が通過後、上空1000㍍〜3000㍍では、おおむね風速10㍍以下と比較的弱めで、風向は、本州付近で、時計回りとなっている様子がわかります。


地表付近で濃霧が発生する気象条件は、:地表付近が湿っている(濃霧発生前日18時の湿度が85%以上) :上空が比較的気温が高い時で上空700㍍〜1000㍍付近に気温の逆転層がある ことも特徴の一つです。

◇気圧の谷が通過して降雨・降雪となった後、上空1000㍍〜3000㍍では、南〜南西風となっているか、高気圧性循環となっている。このような気圧配置になると、夜間から朝方にかけて、濃霧が発生するという目安となりますね。

とりわけ、降雨・降雪量が比較的まとまっていたり、降雨・降雪の収量が夜間、遅くなるほど、濃霧発生の範囲はより広範囲になりますし、濃霧の程度もより顕著になります。(以下、筆者調べ)

東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)から4年、発生の地震波には、実はこういう側面が

2015-03-11 00:00:51 | 日記
地震予知振興研究会HPより引用 東北地方太平洋生き地震の震央と各観測地点震度分布図です。


4年前の今日、午後2時46分、宮城県金華山の東およそ130㌔の海底で大規模な破壊活動が始まり、
更に、更に宮城県沖の陸地に近い海底の地殻、さらには、福島県沖から茨城県沖にかけての海底の地殻が
破壊されて、宮城県栗原市で震度7 他、宮城県、福島県、栃木県、茨城県の一部で震度6強 更には、東京都心周辺の京浜、京葉地区でも、震度5強~5弱といった広範囲に激しい地震動を発生させました。これこそ、東北地方太平洋沖地震で、この地震動と、当該地震に伴う津波で引き起こされた地震災害を東日本大震災と呼ばれるものです。

この東日本大震災で、北海道から東北、関東、中部、近畿、四国の一部にわたって、死者 19225人、行方不明者 2614人 負傷者 6219人 全壊家屋 127830棟 半壊家屋 275807棟 一部損壊家屋 766671棟 浸水家屋 13626棟 (総務省消防庁調べ)と、未曾有の大災害となってしまったのは
周知のとおりです。

この東北地方太平洋沖地震、実のところ、各地の地震波を見ると、語弊ある表現のようですが、なかなか個性ある地震波が発生したといえます。
気象庁HP内、強震観測データの項目をひも解くと、東北地方太平洋沖地震発生時の、各観測地点の波形や、加速度、震度などが閲覧できますが、と以外強震観測データより、地震波の加速度(瞬間的な揺れの強さ)に地域性があり、総じて、加速度が高かった地震といえそうです。

strong>>地震波は、加速度は高くなるほど、当該地震波の周期は小さくなり(比較的がたがたと揺れる)加速度が低くなるほど、当該地震波の加速度は大きくなる(比較的ゆさゆさと揺れる)ようになる性質があります。
一つの地震の中には、様々な周期加速度の地震波が含まれてはいるものの、おおまかに地震波の加速度と周期の間には次のような関係があります。引用画像は気象庁HPより)
東北地方太平洋沖地震では、震度7を観測した宮城県栗原市(栗原市築館)での最大加速度(南北、東西、上下3成分合成)で、2933ガルなのに対し、20年前の兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)発生時の、
震度7と推定される地域の最大加速度(3成分)は、おおむね700ガル〜800ガルでした(気象庁等調べより)同じ震度7でも、栗原市は、周期0・1秒程度だったのに対し、兵庫県南部地震での震度7観測地域では、
地震波の周期は0.8秒~0.9秒程度だったことになります。

strong>地震波とその周期との関係として(筆者調べ)

◆地震波の周期が1秒程度であると、建造物と共振して揺れが大きくなり、建造物にかかるダメージは大きくなってしまいますが、周期0・1秒~0.4秒の短周期の地震波は、山がけ崩れや、
建造物の外壁破損や屋根瓦のずれ・落下などは発生しやすくなるものです。

◆地形的に、台地や丘陵などの比較的固い地盤では、周期の短い地震波(周期0・3秒以下)が共振しやすく、三角州や埋め立て地などの軟弱地盤では、
比較的周期に長い地震波(周期0・6秒以上)が共振しやすくなります。

◆さらに、周期の短い地震波ほど、崖の周辺や硬軟が不均一な地質を伝番する際に、地震波が屈折、反射して、より周期な短く、加速度が高い地震波を
発生しやすくなります。


まさに、東北地方太平洋沖地震、比較的周期の短い地震波が多かった地震といえますね。東京都内でも、山の手地域の観各観測地点が、下町地域の観測地点よりも加速度は高く観測されております、

山の手地域の属する、杉並区や中野区、千代田区の一部では、加速度が、300ガル台〜400ガル台を観測しており、被害状況(総務省消防庁)見ましても、一部破損家屋の戸数は山の手地域でもまんべんなく発生しており、杉並区で956棟も発生していることからも、このことが伺えられますね

関東記録的大雪から早1年余り経過。関東の降雪の特性について今一度紹介.

2015-02-18 01:55:06 | 日記
昨年2月8日と、2月14日〜15日にかけて、関東地方、甲信越地方中心に記録的な大雪となりましたが、早1年余り経過した昨今ですが、あらためて、関東地方の降雪時の特性を紹介してみました。

①昨年2月8日21時の天気図 気象庁HPより引用

※詳細は本ブログ昨年2月8日記事を参照ください


②昨年2月14日21時の天気図 気象庁HPより引用

※詳細は本ブログ昨年2月15日記事を参照ください。

この、昨年2月に記録的大雪2事例より、関東で降雪になるターニングポイントとなるべき現象として、
千葉県周辺で発生する局地前線(沿岸前線)の存在があるわけです。

この沿岸前線ですが、千葉県の東部沿岸の風向風速によって、発生する位置が変化します。

大まかに言って

⑴銚子や勝浦など千葉県東部沿岸の風向が北東〜北寄り風である場合
                  

沿岸前線は千葉県北東部周辺に発生、北東風と北寄り風〜北西風がぶつかり合って沿岸前線は発生。この場合、千葉県内各観測地点での降水量が周辺地域よりも多めとなり、気温、湿度の如何によって、沿岸前線付近を中心にして、当該沿岸前線の西側を中心に大雪となります。沿岸前線の東側では、降雪になりにくく、気温、湿度にもよりますが、みぞれや雨で終始することも多いものです。(昨年2月8日の事例)


⑵銚子や勝浦など千葉県東部沿岸部の風向が北東〜東より風または、南東風である場合

沿岸前線は、
:千葉県北東部周辺から南部内陸部(東〜南東風と北東風とがぶつかり合って発生) と :東京23区周辺(北東風と北〜北西風都がぶつかり合って発生) に2か所で発生 

沿岸前線の東側では、雨やみぞれ で終始しやすく  沿岸前線の西側から沿岸前線の東側で みぞれ や降雪となっても積雪にはならないことが多い。
沿岸前線の西側で積雪で、大雪になりやすくなる。降水量は、2本の沿岸前線、、の周辺で多くなる。(昨年2月14日〜15日の事例)

関東南部で、雨と雪の境目が形成される気象状態時に、この、⑴、⑵の事象が顕著に露呈される。

以上の特性があるわけです。


さらに降雪となりやすい気象条件として、

◇東北南部から北陸地方周辺で寒気移流の場となること。当該寒気移流の程度が顕著になるほど、降雪となりやすく、降り出しが雨やもみぞれでも、時間の経過とともに、
 雪に変化しやすくなる。
ことですね。

関東周辺では、降雪の時期はまだまだこれから。以上紹介した事象を目安として、降雪対策をなさってください。