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カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
講演依頼等連絡先は、tenki@air.ocn.ne.jpへどうぞ

あらためて強調します!天気図上の低気圧や前線位置にとらわれるな!帯状雲の合流地点は大雨の恐れ!!

2015-11-14 22:23:12 | 日記
①11月14日3時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用


昨日夜より、九州南部や四国地方中心に大雨となり、引用図①より、14日3時現在、四国の徳島県や高知県周辺で特に激しい降水となっています。
14日12時までの24時間で、高知県の一部では、降水量が200㍉を超えて、この時期としては珍しい大雨となりました。

天気図をご覧になる際には、高気圧、低気圧、さらには、前線の位置などがまず注目されるところですが、今回の大雨、引用図①の徳島県や高知県周辺での多降水域と引用図②の天気図上での前線や低気圧の位置を比較すると、一般的に悪天をもたらす低気圧や前線の位置と、ちょっとかけ離れている箇所で発生していることがわかりますね。

一方、同じく、引用図①より、徳島県や高知県周辺での多降水域と引用図③の雲画像情報図を比較すると、当該、徳島県や高知県周辺での多降水域は、赤外画像図上で、紀伊半島沖から四国沖に広がる、南西〜
北東方向に雲の帯と、南東〜北西に広がる雲の帯とがたがいに合流した箇所で、ちょうど、Λ型になった頂点の箇所で発生している様子がわかりますね



②11月14日3時の天気図 気象庁HPより引用


③11月14日3時の雲画像情報図
は赤外画像図 は水蒸気画像図 ともに気象庁HPより引用

:


:


ご覧のように、引用図③、(赤外画像と水蒸気画像)双方で白く帯状に映し出される画像域は、暖湿流が収束して雲の活動が発達している箇所です。さらに、当該、帯状画像域が合流している箇所というもの、暖湿流同士が収束している箇所同士が、さらに収束している箇所ということであり、とりわけ発達した降水をもたらしうる地域となるわけです。

大雨をもたらす、発達した降水域を追跡するには、ご覧のように、天気図(地上天気図)だけでは無理!!
雲画像情報図の赤外画像と水蒸気画像双方ではっきり映し出される画像に着目!、とりわけ赤外画像図と水蒸気画像図双方ではっきり映る画像域同士がたがいに合流している箇所こそ、大雨には要注意!!ですね。



高い水温の海水以外に台風の勢力を強化維持させるもの、それは?

2015-10-20 00:26:49 | 日記
①地上天気図
:10月6日9時 :10月7日9時 :10月8日9時 いずれも気象庁HPより引用

:
:
:


②水蒸気画像図
:10月6日9時 :10月7日9時 :10月8日9時 いずれも高知大学HPより引用

:
:
:

③10月7日の、日本付近の海水温分布図 気象庁HPより引用


10月になって、台風23号が、小笠原諸島近海から勢力を次第に強めながら、日本の東海上を北上、7日、8日にかけて、北海道(特に東部中心)に大雨や暴風。波浪、さらには、東部の海岸部には高潮の被害をもたらしました。

台風自体、その勢力を強化・維持させる条件は、よく言われることですが、海水温が27度以上の高い海水温を通過して、高温多湿な空気から、台風自体の渦巻きのエネルギーを補給させることですが、
引用図③より、今回の台風23号に至っては、当該台風が発達した本州南東〜東海上の海水温はおおむね25℃以下と、前記の条件を満たしていません。

ですが、引用図①~より、なぜ、台風23号は、海水温があまり高くないこの海域で、発達を遂げたのでしょうか?

そのからくりはを説明しますと、まず、引用図②〜、日本付近の水蒸気画像図をご覧ください。

引用図を見ると、の10月6日9時、台風がまだ小笠原近海に位置していますが、大陸から本州付近に、外縁部が U字型かつ帯状に白くぼやけた画像域を伴う、暗域がかかってきました。
これは、上空の偏西風帯の谷で、前記したU字型かつ帯状に白くぼやけた画像域は、上空3000㍍付近の上昇流域 逆に、暗域の部分は、上空3000㍍付近の下降流域となります。

、、を時系列で比較すると、偏西風帯の谷の外縁を形成する水蒸気画像上の帯状の白くぼやけた画像域(上空3000㍍付近の上昇流域)は、(6日9時)で、台風の北西側にあったのが、(7日9時)には、偏西風帯の谷自体、形が鋭くなり(谷の前側では暖気移流、後ろ側では寒気移流がともに強まりつつあること。換言すれば、偏西風帯谷に伴う上空3000㍍付近の上州流域と下降流域とは、それぞれ強まるつつあると言える。)台風の中心付近の上空を時計廻りに広がる気流に伴う雲の集団と合流し、台風本体の雲の渦巻きの西側には、水蒸気画像上の暗域(前記した偏西風帯の谷の外縁部の分布する、上空3000㍍付近の上昇流域が進んできたために、その東側に発生した上空3000㍍付近の下降流域)が重なり合ってきています。
台風の中心から上空を吹き広がる箇所では上空3000㍍付近の上昇流域が入って、その吹き広がる気流を強めていて、台風の隣接箇所には、上空3000㍍付近の下降流域が入ってきたことで、隣接する台風自体の上昇流を強める働きをすることが推測されます。引用図①より、台風自体も、6日9時よりも発達しています。

さらに、(8日9時)になりますと、水蒸気画像上の帯状白くぼやけた画像域は台風本体の雲の前側に重なり、台風の西側から南側には、水蒸気画像上の暗域が広がってきました。偏西風の谷自体、この状態は最盛期とみられ、台風自体も、7日よりさらに発達しております。が、水蒸気画像上からは、台風の東〜北側に上空3000㍍付近の上昇流域、反対に、南〜西側は、上空3000㍍付近の下降流域となっている様子がわかり、この状態、台風自体、温帯低気圧化しつつある様子ですね。

以上のことより、台風というもの、激しい上昇流の渦巻きで、当該上昇流を強める事象がそのエネルギーとするわけですから、そのエネルギーの源は、水温の高い海水ばかりでなく、偏西風の谷の接近に伴う、上空3000㍍付近の上昇流域、下降流域と台風とのマッチングでも、台風自体の渦を維持。発達させうるわけですね。

ただ、台風が、このような形態で、その勢力を維持・発達させている場合、台風の進行方向右側のみならず左側両方で、さらに、広範囲で強い風が吹きますので、この件、防災上、看過できませんね。

台風が発達?衰弱?それにはこんな兆候が

2015-09-28 00:21:23 | 日記

引用画像は、9月28日0時の日本付近雲画像図(赤外画像dで拡大版)です。気象庁HPより引用


台風20号が、速度を非常に強めて先島諸島伺っています。

今回は台風が発達する場合と衰弱する場合に現れる現象を列記してみました。
(全て、筆者調べによります)

まず、

◇発達する場合・・・・・

:雲画像を時系列でみると、雲画像上で目の形が円形で輪郭がはっきりしてきたり、台風取り巻く雲の集団が次第に円形帯びてくる。

:台風が海上にある場合、台風の進路にあたる地域の海水温がおおむね27℃以上。

:主に秋期の表れやすいが、台風の進行方向にあたる海上の海水温が27度未満でも、台風の進行方向前側に前線があり、台風と当該前線を取り巻く雲の集団が、東西方向から、北東〜南西方向の分布変化する場合、

:と同時の表れる機会が多いが、台風の北西側から、水蒸気画像上の暗域(温位の相対的に低い気流が分布)が台風に次第に接近してくる場合

逆に、

◇衰弱する場合・・・・・

台風が陸地に上陸する場合(台風が小型ほどその傾向あり。ただし、台風上陸時に台風の中心気圧が950hpa台以下で、台風んぼ規模が中型以下と比較的小さい場合は、上陸後、進路にあたる地域では、数時間ではあるが、予想せぬ暴風に見舞われやすくなる。台風が上陸後、地表付近の摩擦力の作用と、角速度保存の法則とが相まって、台風の中心が小さくなる半面、台風の渦としての回転は増大するためである。)

台風が陸地に接近するにつれて、台風の進行速度が次第に遅くなり、陸地を避ける進路を取るようになる場合。

:台風の前側の前線が発生して、当該前線が,概ね東西方向へ延び続ける場合。


以上の特性がありますね。

台風が発達する場合の、、の場合、台風自体の移動速度は次第に早めることも多く、こういった台風の場合

さらに、台風が上陸後、台風の進行速度が早い(遅い)ほど、その台風は衰えにくい(衰えやすい)と言えますし、台風の規模は大きい(小さい)ほど、その台風は上陸後、衰えにくい(衰えやすい)傾向があると言えます。


日本列島は、まだまだ台風の季節!以上の点踏まえて、早めの防災活動をなさっていただきたいものです。



明け方、関東で強い地震!東京調布市で震度5弱を観測!

2015-09-12 18:30:45 | 日記
9月12日5時49分頃、関東地方で強い地震がありました。

関東地方周辺の各観測地点震度分布図と震央分布図です。気象庁HPより引用。


この地震で、東京都内調布市で震度5弱を観測して、市内の一部で水道管の破損などの被害が発生したほか、東京23区、多摩地域、埼玉県神奈川県、千葉県の一部地域にわたる広範囲で震度4を観測しました。

震源地は東京湾(北緯35.5度、東経139.8度)で、
震源の深さは約70km、地震の規模(マグニチュード)は5.3と推定されます。

この地震は、震央の場所や、震源の深さ、および、震度5弱および震度4の地点分布状況(震度5弱や震度4の地点が、東京23区、や多摩地域の広範囲に分布しているのに対して、千葉県では、震度4の地点は、浦安市や市原市など、東京湾岸のごく一部地域にとどまることなど)より、関東平野が載っている北米プレートの下側に沈み込む、伊豆半島等が載っているフイリピン海プレートの内部で発生した地震と考えられます。

フイリピン海プレートの沿って揺れが伝搬したため、東フイリピン海プレートの指示見込んでいる箇所に比
較的近い、東京23区や多摩地域などのに、揺れが伝わりやすかったことと、東京多摩地区東部から23区西部の地下の構造の特性で、フイリピン海プレートを伝播してきた地震波が、地震波の屈折などの作用が働いてさらに局地的に増幅せしめて、調布市内で震度5弱の強い揺れを発生せしめた、と考えられます。

10日、関東で帯状に集中豪雨 栃木県と茨城県に大雨特別警報発表。鬼怒川決壊などで甚大な被害

2015-09-11 01:40:40 | 日記
①9月10日6時の天気図 気象庁HPより引用


台風17号が、愛知県に上陸して、東海地方西部を縦断し、日本海に抜けた9日、台風一過の好天とはならず、どころか、関東平野中央部では、、9日夕方以降、帯状の発達した雨雲が掛かり続けて、地形的特性など相まって、栃木県や茨城県中心に、10日昼過ぎまで、局地的に豪雨となりました。

栃木県内では、軒並み24時間雨量が300㍉以上、一部では500㍉を超えて、茨城県内でも西部を中心に48時間雨量が300㍉を超えた個所があちこちで現れ、10日未明には、栃木県内に、朝7時45分頃には、茨城県内に、それぞれ、大雨特別警報が発表されるに至りました。

栃木県、茨城県内では、低地の浸水や崖崩れ、河川の氾濫などなどの大雨災害があちこちで発生して、茨城県内では、鬼怒川が、数か所で破堤して濁流が川沿いの広範囲の地域に流失し、被害の全貌はまだはっきりしないものの、甚大な被害が発生している模様です。

この豪雨ですが、台風18号から変わった低気圧に縁を流れてきた暖湿流と、東海上にある台風17号の縁を流れてきた暖湿流とが、関東地方で合流して、関東平野中央部で暖湿流同士が合流したことで帯状に上昇しながら強化されて、非常に発達した雨雲を帯状に形成し、おまけに、この状態が、9日夕方から10日午前中いっぱい継続してしまったため、特に、暖湿流の流れ込んでくる方向に地形的に開いた栃木県内と、発達した帯状の雨雲が長時間かかり続けた、茨城県西部や埼玉県東部など中心にして、記録的な降水量となってしまいました。

この様子を、

②全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用
:9月9日18時


:9月9日24時


Ⅲ:9月10日6時


この時間に対応する 
③日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用
:9月9日18時


:9月9日24時


:9月10日6時


でご覧いただければ、と思います。

関東地方の南で、台風18号の縁を流れ込む暖湿流(おおむね南西風)と、東海上の台風17号の縁を流れてきた暖湿流(おおむね南東風)とが合流して、関東平野上空で、上空1000㍍〜3000㍍まで、南より風ななっている様子がわかりますが、暖湿流同士の収束の結果、暖湿流が、上空まで及ぶ南寄りの気流となって関東平野に流入している証左ですね。
ついでに述べますが、

2都県以上にまたがる大河川の上流部で、

総雨量がおおむね200㍉以上・・・・・中流下流域で、当該河川に流入する小河川や用水の一部であふれ始める。

総雨量がおおむね300㍉以上・・・・・中流下流域で、越水などの大規模な洪水被害が発生し始める

という目安があります。(筆者調べ)


今回は、鬼怒川上流域で、総雨量が600㍉以上となった個所もあり、鬼怒川流域には、前記した帯状の発達した雨雲もかかり続けたため、中流部分の、茨城県内で、数か所にも及ぶ破堤につながってしまった。と言えるでしょうね。