映画「クラッシュ」を観た<★★★★★>
クラッシュ
[監][案][製][脚]ポール・ハギス
[製][脚]ボビー・モレスコ
[製][出]ドン・チードル
[音]マーク・アイシャム
[出]サンドラ・ブロック マット・ディロン ブレンダン・フレイザー
[制作データ] 2005米/ムービーアイ
[上映時間] 112分・PG-12
どれだけぶりだろう、映画レビューで5点満点をつけたのは。たぶん「チャーリーとチョコレート工場」以来かな。
ロス・アンゼルスのリアルライフを、僕が数えただけでも9つものストーリーをタペストリーのように紡ぎながら描いている。いわゆるグランドホテル形式の映画だ。いやER的な群像劇、といったほうがいいかな。
実際のLAの生活は知らないが、きっとこういう毎日が繰り返されているのだろうと思わせる。いわゆる映画的な甘さはほとんどなく、スターが出ているにもかかわらず、非常に辛口で大人の映画だ。どのストーリーにも正邪が入り交じっていて、根っからの悪人も善人もいない。
リアルライフ、で痛感させられるのは、この映画のテーマでもあるいわゆる人種差別、黒人差別で、これはもうアメリカ社会の根幹に抜きがたくあるのだろう。そして、犯罪。殺人。これが道の石ころのように、日常にあるんだなー。本当に。
さてこの映画の、どこが5点満点にあたるのか、と言われると苦しいのだが、まずはその「甘くない」リアルライフの描き方が一つ。これは脚本の勝利だろう。そしてもう一つは役者陣の演技の素晴らしさで、もう、どの役者も素晴らしい演技を見せている。サンドラ・ブロック、マッド・ディロン、そして申し訳ないんだが名前を知らないけど黒人の役者の方々、とにかく圧倒的な演技力だ。
そして、5点を差し上げた最大の理由は、ぼくがあるシーンで大変感動したからだ。これから映画を観る人のために、詳細は語れないが、そのシーンでは最初、あまりの悲劇ぶりに、僕は目を覆って叫んでしまった。「やめてくれ!」と。そしてその直後、僕はあっけにとられた、そしてキリスト教的な奇跡、宗教的な救済を感じた。さらにその後で、周到なシナリオと、それでもそこには救済と許しがあることを感じた。いままで観た映画の中でも有数の素晴らしいシーンだった。そのシーンがあるだけで、あとはどんなに駄作だとしてもぼくはこの映画を満点としただろう。
みなさん、ぜひ。できれば劇場で! まだやってます。
以下、Webからの公式解説です。
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LAのハイウェイで起きた1件の自動車事故をきっかけに、様々な人々の運命が交錯してゆく群像劇。「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本で注目を浴びたポール・ハギスの初監督作。
クリスマス間近のLAのハイウェイで交通事故に巻き込まれた刑事のグラハムは、偶然、事故現場脇で若い黒人男性の死体を発見。その前日、自動車強盗と若いカップルが、白人警官と黒人夫婦がトラブルを巻き起こしていた。
このシーンで僕は、本当に悲鳴を上げ、その後、宗教的ともいえる救いを感じた。