ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

みんなで劔岳:核心部その1

2017年10月04日 00時13分30秒 | Weblog
前劔を越え、一端コルで落ち着く。
ここから先が別山尾根ルートの核心部であることは事前の打ち合わせで何度か説明しておいた。

しばらく進むといよいよ例の「橋」が見えてきた。

橋の手前で説明を加えた。
「もし渡ることに不安を覚えたら、橋の左手に下りて進めばOK。ただしかなり狭い幅だから橋に手を掛けて渡ること。大丈夫!」

先ずは自分とKMさんが渡り、渡りきったところでKMさんにはその場で待機してもらった。
AM君は反対側で動画の撮影。

この5番クサリは岩峰を巻くようにしながらトラバースする。
一定のポイントまで自分が進んだところでKMさんに続いてもらうことにしたが、その前に一応確認。
「どうする。アンザイレンする? 遠慮しなくていいから。」
「う~ん・・・一人で行ってみます。」
不安そうな表情であったが、彼女の真剣な眼差しに「わかった」とだけ答えた。
心配なことは雨によるスリップだ。
三点支持は当然のことで、スタンスポイントをよく見て通過すること。
そして岩に打ち込まれている鉄の杭を信じて体を乗せることだ。
この二点を最終確認し自分が進んだ。
あまり距離をあけすぎない方が良いと思い、カーブの手前でKMさんにOKサインを出した。


ホールドポイントが低すぎる。
見ていて危険を感じたが、すぐに体勢を立て直した。(ホッ)


いいぞいいぞ。そのペースでゆっくり来れば大丈夫。
余計な言葉は一切発せず、彼女が到達するまで待機した。

自分とKMさんの二人が何とか待機できるごく小さなポイントがあり、そこでAM君が来るのを待った。

さすがである。
スムーズな体運びだったが、少し動きが速かったのでもっとゆっくり動くようアドバイスをした。
一瞬のスリップが命取りとなるのがここからのルートなのだ。

後日KMさんに劔岳の感想を聞いてみたところ、カニのタテバイやヨコバイよりも、橋を渡った先の5番クサリのトラバースが一番怖かったらしい。

雪渓が見えた。

草地の区間でもあったので、ちょっとだけその場で気持ちをリセットし進もうと考えていたら・・・あれまっ! 今日も出会うことができた。

しかも、よく見ればひな鳥が二羽おり、親子の雷鳥であった。
自分が何か言ってリラックスさせるより、雷鳥の親子の方が遙かに効果てきめんだと思った。
そしてまたまたお出ましだ。

なんと、これほど近づいても一歩たりとも逃げることがない。
AM君、御満悦(笑)。


自分が指さすほんの1m先だ。(画像の右上)

少し分かり難いので、ではアップ画像を。

逃げない。
人は危害を加えないという安心感があるのだろう。
今までにも多くの登山者と出会ったであろうが、誰もが写真を撮る程度であって、そのまま静かに通り過ぎていったのだろうと推測する。

何度も通っているルートだが、この辺りで雷鳥に出会ったのは今回が初めてであった。
ちょっとだけ悪天候に感謝・・・かな。

雷鳥との出会いに和んだところだったが、和んでばかりもいられない。
次は「平蔵の頭」が待っている。

「頭(づこ)」の手前で止まり、「あれがそうだよ」と説明したが、あまりピンと来なかったらしい。
そりゃそうだろう。
ここから見てもただの低いちょっとした岩峰にしか見えない。
真正面に見えている垂れ下がったクサリは復路時のためのもので、右側から巻くようにして頭(づこ)を登って行く。
いくら事前に説明をしても、現場でなければ理解できないことばかりだろうと思う。

この先、KMさんにはセルフビレーをしてもらい、自分が上からテンションをかけながら下ってもらおうと考えている。 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿