ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

長岡へのひとり旅:久しぶりのひとり旅

2018年03月05日 20時55分27秒 | Weblog
ひとり旅に出かけるのは何年振りのことだろうか。
たぶん5~6年振りになると思う。

ふと思いつきで出かけたわけではなく、休暇になれば山に出かけてばかりで「旅」に出てみたいとは常々考えていた。
今回二日間の休みがあり、以前から行ってみたかった新潟(長岡)へと出かけることにした。
目的は二つ。
一つ目は北越戊辰戦争に関する史跡や資料館巡り。
もう一つは車窓からの雪景色を見ること。
「何で今更雪景色? 嫌ってくらい雪山で見てるでしょ。」 と、女房から言われたが、車窓から見る雪景色はまた別物だ。
何よりものんびりとできるしね。

1月10日のまだ日が昇らない早朝に家を出発した。
5時を過ぎたばかりの列車に乗り、先ずは小山駅へと向かった。

吐く息が白い。
寒さ対策は十分にしてきたつもりであったが、登山と旅とでは衣服に違いもあり、ましてや体を動かすことのない今回では体内からの発熱は期待できない。
「う~さっみぃー」
思わず独り言が出てしまった。

小山駅まではたった一駅で、すぐに両毛線へと乗り換えなければならない。
実を言えば両毛線に乗車するのは初めてであり、ちょっと嬉しくもあった。

さすがに人影は少なく、ひっそりとしたホームだった。
ここから群馬県の高崎駅までの約2時間はゆっくりとできる。
終点までの乗車だし、眠ってしまっても心配はない。

列車がスタートした。
まばらな車内に車掌のアナウンスが響く。
帽子を深く被り直し目を閉じた。
ウトウトとしていながらも、駅に着く度に近くのドアが開けば冷え切った外気が一気に車内に入ってくる。
嫌でも眠気が取れ「ん? どこの駅だ・・・」と思う。
しばらくはずっとこの繰り返しだったが、やがて日が昇り眩しさを感じるようになってきた。
そして通勤や通学の人たちで、車内はいつのまにか混雑し始めていた。

8時前に高崎駅に到着。
高崎は何度も来てはいるが、駅そのものは初めてだ。
上越新幹線への乗り換えまで時間があるため、駅周辺を散策することにした。
とは言っても一歩駅を出てみればすぐに目についたポイントがあった。

「う~さっみぃー」
今日はこれで何度同じ言葉を言っただろうか(笑い)。

駅へと戻り暖房の効いた待合室へと入った。
持ち帰りのブレンド珈琲を買い、椅子に座った。
一目でビジネスマンと分かる人。
大きな土産物の紙袋を横に置いている人。
小さな子供を連れているお母さん。
それぞれの目的があって、それぞれの人たちが自分と同じ空間にいる。
久しぶりに感じた「旅」の感覚だった。

さて、腹も空いた。
まだ朝食を食べていないが、何にするのかは決めていた。
高崎駅名物の「だるま弁当」だ。
嬉しいことに購入した店にはレンジがあり、駅弁を温めることができた。

「だるま弁当」
これには懐かしい思い出がある。
大学時代の夏合宿の時に必ず食べたのがこの駅弁だった。
上野駅から列車に乗り、途中の高崎駅で購入した。
ホームへと降り、駆け足で弁当の販売所まで行き人数分を買うのが1年生の役目だった。
そして長野駅で降り、そこでは信州そばで昼食だった。

「だるま弁当かぁ・・・あの時以来だな。」
箱の外見を見て「あれっ、こんな感じだったかな?」と思いながらも懐かしさで一杯だった。

上越新幹線に乗車。

この路線に乗るのも30年振りだろうか。
新婚当時、初めての冬に女房と二人でスキーに出かけた時に利用して以来かも知れない。

家を出発してからもう4時間以上が経っている。
さすがに空腹だった。

「おぉ~夏合宿以来のだるま弁当だ♪」
やっぱり旅には駅弁がよく似合う。
味の好みは人それぞれだが、ある意味旅の駅弁は雰囲気で味わうものかも知れない。


中身がどのようになっていたのかなど全く記憶にはなかったが、思い出の駅弁を食した。
いい歳をしてワクワクするような思いに駆られた。
「今日は山じゃないんだ。緊張するような感覚は必要ない。ゆったりのんびり気ままに過ごすことができる。食事だってゆっくりと食べることができる。たまにはいいなぁ・・・。」

車窓からの景色が徐々に変わって行くのがわかった。
空はまだ青い部分が残ってはいたが、山肌は明らかに白くなってきていた。

「今日は登山のことは忘れよう」と思ってはいても、ついつい無意識で「あの目立つ山は何て言う山なんだろう」と考えてしまっていた。

いよいよ新潟へと入ったようだ。
トンネルの数が増えてきた。
そしてトンネルを抜ける度に空の色に変化が出てきたようにも思えた。
明らかに鉛色の空へと変わって行った。

「長岡の街は雪かも・・・」
それはそれでいい。
雪国への旅であるならば、敢えて冬に出かけるのもおつなものだ。
列車の遅れはあるかも知れないが、それを分かっていて出かけたのだし、雪山ではない雪を楽しもう。