ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

雪の降る夜:チャンポンが食べたい

2013年03月24日 20時24分29秒 | Weblog
久しぶりに「雪の降る夜」を再開する。


「八方台分岐点」までの急登攀は確かにきつかった。
ザックの重さを恨むほどに汗がしたたり落ちる。
かといって不必要なギアは何一つ無い訳で、恨むのであれば自分の体力と根性の無さだろう。

全くの無音の世界に、「ハァハァ」という息切れ寸前の呼吸音がやたらと響いた。
後は雪を踏みしめるアイゼンの音だけ。
「あと5分・・・5分ガンバだ。」
そう思いながら何とか登り続けると急にルートがフラットになった。
そして視界が開け、数十メートル先には標識と思える十字杭が見えた。


「あぁ・・・やっと八方台分岐点か。」
言葉には出なかったが、最初の難所を越えたという安心感から思わず笑みがこぼれる。
一に水分、二に塩分、三に糖分、四にカロリー。
でもって五にニコチン。
これが休憩時における自分流の行動食摂取順だ。(煙草は行動食ではないが・・・)
わずか10分間だけの休憩時にこれだけのものを摂取しなければならない訳で、座ってはいるが結構せわしい休憩なのだ(笑)。

ここから先の「唐沢鉱泉分岐点」までは、地図によればゆるやかな登り坂となってはいるが、雪山であればトラバースに近いのではないかと、ささやかな願いがあった。
「自分で決めて自分でここまで来ておきながら、何を勝手にわがままを願っているんだ。」
そうは思っていてもわずかでもフラットなルートは正直言ってありがたい。

実際次の分岐点まではほぼフラットなルートだった。


森の中の雪道を静かに歩く
トレースはしっかりとついており安心できるが、だからこそ何度も地図を広げコンパスを活用して現在地を確認しながら進んだ。
安心できる状況であるが故に、安心してルートファインディングもできる。

唐沢鉱泉分岐点につくと、なにやら楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
「こんにちは!」とお互いに挨拶を交わす。
「昼飯ですか?」と尋ねると「えぇ、ついでにどっちのバーナーが先に沸騰するかタイムを計ってるんですよ。」

よく見ると方や省エネNo1「ジェットボイル」
方や機種が豊富な「プリムス」だった。
結果はすぐに出た。
わずかに30秒差で「プリムス」の方が先にお湯が沸いたようだった。


そういえば時刻はもうすぐ13時になろうとしている。
気付けば腹も空いてきたなぁ・・・。

一人はラーメン、もう一人の方はチャンポンを作り始めた。
いい匂いがマイナス15℃の凍み渡った雪の世界に広がる。
だぁーっ!!! なんて美味そうなチャンポンなんだ!
行動食だけでは腹の虫が鳴き止みそうにないぞ。

この二人とは話が盛り上がってしまい、30分もここに留まってしまった。
別れを惜しむかのように握手を交わし、今日の目的地に向け最後の登攀を開始した。

ここからがまたきつい登攀が続く。