ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

グループ登山・・・2

2013年03月17日 23時39分56秒 | Weblog


これは前日に登った時の写真だ。
足慣らしとしてはちょうど良かったかな。
天候にも恵まれ、体調も万全。
「これなら明日の赤岳もOKだ!」

そう、この時はそれだけ確信を持てる自信があった。



まだ完全に夜が明けきらぬ雪道。
ザックの中身は余分な荷物は一切入れず、水さえもいつもより500ccほど少ない。
それでも何故か重く感じた。

日が昇り、次第に周囲が明るくなり始めた。
「そろそろヘッドランプは不要かな」
そう思い、ザックにしまった。
ついでに水分を補給しようと思い、スポーツドリンクを数口飲んだのだが、この時もまた「うっ!」と嘔吐感に襲われた。

「大丈夫。まだ行ける(だろう)・・・」
何の確証も無かったが、せっかくこのメンバーで来ることができたという充実感だけが自分を支えてくれてたような気がする。

途中の山小屋近くで休憩をした。
嘔吐感は限界だった。
みんなに一言断り離れた場所で吐いてきた。

ややスッキリはしたものの、胸や胃のむかつきが治まったわけではない。
「大丈夫です。行きましょう。」
そう言ってザックを背負い雪道を歩き出した。

5人中、自分のポジションは最後尾だった。
グループ登山の場合、最後尾は隊長がとるポジションとなっている。
自分が隊長のはずなどあるわけがない。
ただ単に登るペースが遅れているだけなのだ。

登りながら時折両膝に手を当て、前屈みの姿勢をとった。
とりながら息を整え、大きく何度も深呼吸をする。
呼吸がつらいのではない。
心臓がバクバクしているのでもない。
気持ちが悪く、吐きたいだけなのだ。
最後尾であることが幸いし、誰にも気付かれてはいない。

そんなことを何度も繰り返し登り続けた。
そしてこのあたりから「先」のことを考えた。
「このまま登り続けたとして体がもつだろうか・・・」
「気力だけで登頂できるだろうか・・・」
「登頂できたとして、下山の体力は・・・」

今までの経験や、読んだ専門書に綴られていたいろいろなケースを想定してみた。
そして自分なりに下した決断は、正直に自分の体調不良を伝え、自分は下山し、みんなにはこのまま登頂を目指してもらうというものだった。

・・・のだが。