ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

時にはのんびりと:またまた子供と・・・

2012年01月15日 22時34分56秒 | Weblog
ちょっとくつろぎ過ぎてしまったかも知れないと思うほど、のんびりとした昼食だった。
まぁたまにはこんなソロトレッキングがあってもいいんじゃないかな(笑)。

三度分岐点へと戻り、そこから茶臼岳外周コースへと歩き出した。
マイナーなルートではあるが、初めてのルートであり楽しみだ。


火山ガスがルートのすぐそばから出ており、風向きによってはむせかえるほどの臭いがした。
なかなかの迫力だ。
西側の遥か彼方の稜線を眺めつつ歩く。
ほぼフラットなルートだけに景色を愛でる余裕があった。
いいものだ。こんな景色を見ながらのんびりと登山ルートを歩けることに小さな幸せを感じる。


栃木の山も捨てたものじゃないなぁと、しみじみと思える瞬間だった。

特に疲れはなかったのだが、思わず立ち止まりしばし見とれてしまう風景だった。
腰を下ろすのではなく、立ち止まったままがいい。
一人であるが故に、好きなところで立ち止まり、好きなだけ思う存分風景を堪能した。

茶臼岳を一周し終え、避難小屋に到着。
時刻はまだ午後の2時だが、ここで休憩することなくそのまま下山ルートへと向かった。
約1時間ほどで登山口へと戻る予定となる・・・のだが、ちょっとしたアクシデントに遭遇した。



下山ルートの左手は崖で、その先には「朝日岳」がそびえている。
歩きながらもついついよそ見をして見上げてしまう勇姿だ。
自分も下山しながら時折左手を見上げた。

ある家族連れが登ってきた。
登山ではなく、那須まで観光で来たついでに途中まで登っているのだろうと、服装から推測した。
小学生と思われる男のお子さんが二人いた。
元気いっぱいで駆け足で登っているのだが、「危ないなぁ」と思わざるを得ない。なぜなら、片側は山肌だがもう片側はガレ場の谷となっているルートだ。

そしてそれは起きた。
その男の子とすれ違うときに自分は谷側によけたのだが、その子はなんと更に谷側に自分をよけてすれ違おうとした。
「あっ!」と思ったときはもう遅く、その子は斜面の細かなザレ石に足を滑らせ滑落しそうになっている状態。
「やばい!」と思い、とっさに左腕を伸ばしその子の腕をわしづかみにした。
同時に自分の体も確保しなければならないわけであるから、右腕ですぐそばにあった岩をホールドしようとしたのだが、やはり自分もあせっていたのだろう。ホールドする前に、思い切り岩に右腕の上腕をぶつけるようにこすりつけてしまった。
それでも何とかセルフビレーの形を取りながら男の子を引っ張り上げた。

幸いその子に怪我はなかったが、ちょっとべそをかいている(笑)。
泣きながら「ごめんなさい」と何度も言ってきている。
両親もその子を叱りながら自分には平謝り。
自分の怪我のことをしきりに気にしてはいたが、面積は広いもののたかが擦過傷だ。
多少ズキズキしてはいるがどおってことはない。
「いえいえ、北アルプスへ行ったらこんなもんじゃ済まされませんから。大丈夫ですよ。ははは!」
そして男の子に一言。
「山はやっぱり歩こうね。歩いて周りをよく見て安全に楽しく登ろうよ。」
でもって別れ際に思い切りかっこつけて一言。
「また、山においでよ!」
手を振ってわかれた。

「また、山においでよ」とは・・・。
そう、あの「岳」の映画で主人公役を演じた「小栗 旬」の名台詞なのだ(笑)。
(「なぁにいい歳してかっこつけてんだよ俺は。バカか」)
そう心で笑い、ティッシュで血を拭き取りながら下山した。

振りかえれば茶臼岳に太陽が重なりかけている。
もうじき夕暮れだ。

のんびりと歩いたソロトレッキングだったが、最後になってアクシデントが発生してしまった。
子供に怪我がなかったことが何よりだったが、どうも自分は子供と出会うと怪我をしやすいようだ。
4月にソロで登った筑波山のときもそうだったし・・・。
まぁ単なる偶然だろうが、これも山の経験値と思っている。