ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

みちのくひとり旅:長床

2012年01月19日 22時21分37秒 | Weblog


タクシーで10分も走っただろうか。
第二の目的地である「新宮熊野神社」に着いた。
本来であれば7年ほど前に訪れていた場所なのだが、ちょうど息子と喜多方・会津方面の幕末歴史探訪旅行に来ていたとき、義父が亡くなったという知らせを受け、急遽帰宅した。そして二年前、年末の大雪で再び訪れること叶わず・・・。

平成17年3月31日付の朝日新聞の特集記事として、会津・喜多方方面への春の旅が掲載されていた。
そのときに見た写真が忘れられず、いつかは訪れてみたいと願っていた場所だった。
自分は決して寺社仏閣に興味や関心があるわけではない。
ただ何となくその写真を見て心惹かれるものがあっただけのことだ。



タクシーを降り、参道を歩いた。
「長床は・・・」と思っていると、正面奥に見える建物がそうらしい。
「やっと来たか」
ひとり旅であるが故に、そして長い間の思い入れがあっただけに、感動がゆっくりと湧いてきた。


初めは長床には上がらず、ぐるっと建物を一周して歩いた。
総ひのき、神殿造りの主殿形式。
四方が吹き抜けとなっており、44本もの太い柱がすべてを支えている。


あまりの静けさに不気味ささえ覚えそうだった。
それは、人里離れた場所であるということだけではない。
冬という季節であるが故の静けさも加わってのことだ。



長床に上がってみた。
何の音も聞こえないのだが、敢えて言うのなら雪の降る音だけが聞こえていた。
(そんな気にさえなってしまうということ)

荘厳で雄大、それでいて素朴。
吹き抜ける風と共に雪が舞い込んでくる。
それがまたいい。



不謹慎とは思ったが、訪問者(参拝者)は自分の他は誰もおらず、足を伸ばして座った。
そして、しばし大の字になって寝た。
天井を見つめ、静かに目を閉じる。
風が冷たい。
粉雪が頬にあたる。
頭の中は完全に空っぽ。
「無」と言うには大袈裟だが、ひとり旅を堪能させてもらった。