▲<太陽の下で、映える「アリアケカズラ」>
◎「免疫力」(6) 後編です・・・。
●その他の神経物質
神経伝達物質には、とても多くの種類があります。現在、確認されているだけでも、百数十種類にのぼります。その中で、特に有名なのが、「アドレナリン」です。スポーツ選手などのインタビューで「アドレナリンが出てきて、好記録に繋がった」というようなコメントを聞く事がありますね。「アドレナリン」には脳を覚醒させる作用や、集中力を高める効果があると言われています。
▲<鳥の頭のように見える「ゴクラクチョウ」の花>
●ドーパミンは、幸せを記憶する
2000年にノーベル医学生理学賞を受賞した、イギリスのA・カールソン博士は「ドーパミン」が脳の中の神経伝達物質である事を実証しました。博士の研究発表により、「ドーパミン」が「幸せを記憶する」物質である事が、広く知られるようになった。
例えば、私達は日常生活の中で、特に意識する事なく、仕事や勉強あるいは家事などをしています。「さあ、今日は絶対に仕事をするぞ!誰が何と言おうと、自分は仕事をするんだ!」と、改めて決意したりはしないはずです。「それは、習慣だから、働く事が習慣になっているから」と思うかも知れませんが、それだけでは正解とは言えません。人間が習慣として行動を続けるためには、そこに大きな「理由付け」が必要となります。
これに該当するのが、意欲や向上心といった要素です。仕事を続ける事で、一定の金銭が得られます。さらに、名誉や周囲からの尊敬を得る事もある。また、仕事を通じて実現出来る、社会参加や他人とのコミュニケーションも、生きて行く上で欠かせないモチベーションのひとつです。このような報酬が、働く意欲の源泉になっています。
この「意欲」をコントロールしているのが、脳であり、「ドーパミン」です。「ドーパミン」は、歓喜や快楽、興奮を脳に伝える働きをしています。これらは「幸せ感」に欠かせない要素で、これらが高まれば「幸せ感」も増幅します。
働く事によって歓喜や快楽を得られるからこそ、私達は毎日、仕事に精を出すのです。そして、その先に見据える夢や希望を実現させるためには、より一層の「ドーパミン」の働きが欠かせません。
▲<燃えるように咲く「鳳凰木」>
●「セロトニン」が、不足すると
誰にでも、不遇な時や不運な時があります。そんな逆境の時、気持ちを奮い立たせ、やる気を起こしてくれるのが「セロトニン」です。いわば不遇を蹴散らしてくれる「元気の素」、貴重で有り難い「幸せ物質」の代表格です。この「セロトニン」が不足すると、怒りやすくなり、時間が経過してもそれを抑えられなくなる事が解っています。少し前から若者の間で、怒る事を「キレる」と表現するようになりました。最近では中年層にまで、この言葉が浸透してきた印象を受けます。人々が「キレやすくなった」と良く言われますが、「セロトニン」減少の影響で、感情や体をコントロール出来なくなっている事もひとつの原因ではないでしょうか。
▲<「オオバナソウシンカ」>
●腸の中の必要悪
腸の話に戻りましょう。腸内細菌には、「善玉菌」「悪玉菌」という分類がありますが、「悪玉菌」を「悪」と決め付ける事には少々問題があります。なぜなら、「善玉菌」をきちんと働かせるためには、「悪玉菌」の存在が必要だからです。実は、「悪玉菌」を全部無くしてしまうと、「善玉菌」は働きません。それを解っているからこそ、腸は「悪玉菌」を受け入れるのでしょう。本当に悪い菌に対しては、腸は激しい反応を示します。例えばコレラ菌が入って来たら、わっと粘液を出して追い出そうとします。「悪玉菌」が増え過ぎると体調が少し崩れるのですが、それでも「悪玉菌」は必要なのです。
▲<「紫色」が、美しい「タイワンレンギョウ」>
「免疫力」の話は、この項で終了します。
参考文献:『腸内革命 - 腸は、第二の脳である』藤田 紘一郎 著(海竜社)より、抜粋
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