晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

地名のこと(6) 2/9

2012-02-10 | 上林地名考

2012.2.9(木)曇 朝の気温-5℃ 降雪量1cm

 竹を屋敷の周りに植えることによって屋敷を隠すことは出来るし、竹林では刀を振り回すことも出来ないので防御の意味はあるのだが、それが竹鼻の地名の語源だとは思えない。第一武士が登場する以前から竹鼻地名はあっただろうと思うし、およそ武士とは縁のない様な所にも竹鼻地名はあるわけだ。
 竹、孟宗竹というのは人工的に植えられたものではないかと思うのである。必ず家屋の周囲にあり、廃村になった高地集落などでも他の樹木の中に特徴的に生えているのでかつての生活の跡がうかがえる。念道でも屋敷のあるところ、あるいはあったところには必ず孟宗竹の竹林がある。ところがそれはすべて家屋の上の斜面に植わっていることである。これはどう考えても地盤の保全としか考えられない。地震、土砂崩れ、あるいは上部からの雪崩なども含まれるかもしれない、一つの防災対策だと思う。P1000437
P1010012_2  
念道の集落の様子、秋と冬のものだが家屋の上部に孟宗竹の竹藪が帯のようにつながるのがわかる。


 話がそれたが、竹鼻地名について、柳田国男氏の文からは納得いくものが得られない。ましてや猪鼻についてはどういうことを言っておられるのか理解が出来ない。
 「イノハナというのも似たような場所で、云々」竹鼻と猪鼻が似たような場所といわれているのだが、竹を植えて要害とするという意味は猪鼻には考えられないので、どういうことか解らないのだ。竹鼻と猪鼻が似たようなものということなら、竹は丈、高で高いところの塙を表し、猪はイノ、イヌで低いところの塙を表すのだろうか。
 しかし元々塙は小高いところなので、これに高い低いを付けるのは何とも妙な話である。また、高い低いは相対的なものなので、同一地域に竹鼻と猪鼻があるべきなのに、実際には対で存在する例は見つけられない。
 これ等のことから竹鼻と猪鼻は無関係ではないかと思うのである。Img_3157
 
猪鼻から大原に越える峠、尻見峠か?この源流に清水の湧く岩壁でもあれば猪鼻地名の根拠になるのだが、、、。


 そんな時徳島県方言学会の地名をさぐるという文書の中に猪鼻地名に関する論文があり、猪鼻→清水の湧く断崖というのがあり、眼から鱗の感がする。断崖というと抵抗があるが、丹波の言葉では”岸”という感じの尾根の末端とでも考えればよいと思う。これだとばかりに色々と発表したのだけど、清水の湧く岸なんてどこにでもありそうで、さりとてここだと確定できないなんとも不可解な語源だなあと思うようになった。他の地名でもそうなんだが、一度これだっと決めてしまっても、後々色々と思い悩む事になるのが常である。
つづく(地名のこと(5)は2012.2.4)

今日のじょん:今朝は-5℃と冷え込んでバリバリの朝となった。ずっこんずっこんの雪から一転、どこでも歩けるカチカチ雪となって大はしゃぎ。やっぱ高いところが好きなんだナ。P1000999 P1010003 P1010005

 

 

 

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