映画「フラメンコ・フラメンコ」、最終日最終回を見て来ました。文句なしに素晴らしかった!生でフラメンコを見たことがありませんが、それに映像で可能な限り近づけたと思われる舞台の迫力が、スクリーンから溢れんばかりに伝わってきました。余計な説明は一切なし、観客は、全21幕で構成されるフラメンコの世界をひたすら堪能するのみ。どの幕もそれぞれに個性的で、見所聞き所満載の映像に仕上がっています。
導入部からして秀逸です。フラメンコの会場となる建物の鉄筋の屋根の骨組みを、流れるようなカメラワークでおさめつつ、ギターの横板か何かを打ち鳴らしていると思われる、フラメンコのリズムがリフレインされます。カメラは徐々に会場に近づくのですが、その会場には、ロマやフラメンコダンサーを描いた絵画の数々が展示されており、演技をそれらの奥で始まるのです。(ちなみにこれらの絵画は、最後にクレジットと共に、一枚ずつ映し出されます)。これを見た私は、「ははあ、コレはきっと、映画のラストはこの逆で、徐々に舞台から遠ざかって戻っていくのだな!」と訳知り顔に思ったものですが、監督の思惑はそんな生意気な想像を遥かに越えるものでした。実際私が思っていた通りに遠ざかってはいくのですが、最後を建物の外を出て、フラメンコのリズムも聞こえなくなり、代わりに現代の都会の喧噪が聞こえてくるのです。しかしその中にありながら、私たちの耳には先ほどまでの音楽がしっかりと響いている。まさに「感動的なライブ」を体験して来た時のような感覚を味わえるのでした。
出演されているのは、おそらくその世界では名高い演奏者、ダンサー達ばかりだと思いますが、とりわけ圧倒的な存在感を示していたのが年齢を重ねてきたアーティストで、マノロ・サンルーカルやパゴ・デ・ルシアのギター、マリア・バラ(80歳を越えているらしい)の歌(映画の中で唯一の無伴奏)は、歩んで来た長い道のりを思わずには言われない深みがありました。
うーん、イイなぁ。。。私もこういう風に年を重ねたい!
終演後、売店でパンフレット見本を読みながら(買いたかったのですが売り切れでしたので)、出演者の紹介を読む私の目に、第2幕で官能的でありながら強烈な生命力と凄みを漂わせていたダンサー、サラ・バラスが、実は私より年上ではあるものの、想像していた程差がないことが判明。うーん、彼女の年になればこのような風格を感じさせるように、、、、多分、、、きっと、、、、、なっていないでしょうねぇ。年はただとれば良いってものではないようです。。。