昨日(1月25日)付けのA紙に『冬の昆虫観察』と題する記事が掲載されました。みだしは「命つなぐ姿発見にコツ」というもの。
記事の前提として,冬は昆虫はめったに見られないという見方があるようです。しかし,わたしには,それは一面的であって,先入観にとらわれた感じ方であるように思われます。つまり,先に結論ありき,のスタンスです。
記事の出だしにはこうあります。
「ついついこもりがちなこの季節。でも,寒さに負けず,子どもと出かけてみてはいかがでしょうか。身近な自然に目をこらせば,冬を越えようと寒さに懸命に耐えている虫たちの姿を見つけることができます。専門家に,観察のコツを教わりました」
記事は,専門家の次のことばが結びになっています。それも引用しておきます。
「厳しい冬になると生き物は姿を見せなくなりますが,その命は確実につながっています。見つけるコツを知って,どんな場所でどんな工夫をして春を待っているのか,探してみては」
わたしなりの結論からいえば,半分そうであるけれど,半分そうではない,ということになります。冬の寒さを乗り越えることは,大方の昆虫にとって大課題です。しかし,寒いなら寒いなりにそうした環境に順応してきっちり生き抜くすべを身に付けている昆虫(成虫)がじつにたくさんいるのです。このことを忘れて,ステレオパイプ式に「昆虫は冬は活動していない」かのような解釈で身近な自然を見てしまうのは困りものです。それでは,自然をありのままにとらえる感覚を失う羽目になります。
確かに,冬活動する昆虫の絶対数は極めてすくないのですが,成虫で活動している昆虫は意外にいるのです。もちろん,小さめの虫なので目立ちにくいのですが。それを観察するポイントは,「冬の晴れた穏やかな日,咲いている花を観察する」ことに尽きます。
わたしがその典型だと思う身近な花は,キク,サザンカ,ツバキ,ロウバイ,マンサク,ウメ,ギンヨウアカシア,タンポポなどです。それらは,家の庭,畑,公園,あるいは道端にふつうに見られる花です。その他にも,探せばあるかもしれません。とにかく,冬に花が咲くというのは一般的には昆虫に受粉を手伝ってほしいからであって,花と昆虫とは抱き合わせで考えるべきなのです。
冬に昆虫を見つけようとして,落ち葉や石の下を探すのは手がかりとしてはたいせつです。息を潜めるようにしてそこで越冬している虫が多いのも事実なのですから。しかし,観察するのにそこだけにこだわっていてはいけません。もっと広角に昆虫のいのちを見つめていかなくちゃ。
というわけで,わたしなりにみだしを付けて記事を書くとなれば,こんなふうになるかも,です。「冬 活動する虫・しない虫」。「真冬に生きのびる知恵」。「真冬,命つむぐ虫たち」。どうでしょうか。