虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

魔法をかけるメデイア

2010-02-04 | 新聞・テレビから
今日の朝刊(朝日)一面にまたもあの主筆(「OJT」の人)の論文。

この人の文章こそ、線引きしなけりゃわからない文章で、線引きしてもなおわからぬ難物。

今回、前回のように「OJT」こそ、なかったけど、日米同盟の再定義は、「against(何かに対して)の同盟から「for(何かのための)同盟」へと進化させることだ」と書いている。
ふーむ、この人は、どこまで難しい言葉を使うのが好きなのだろう。わざわざ(  )にしているが、教えることも好きなのだろう。

この人にとって、日米同盟の「深化」とは、やはり「進化」のことで、そのためには、3つの原則がある、と説く。いわく。①互恵原則 ②相互補完原則 ③協同原則。この3つの言葉の違いを的確に説明できる人いる?同じことじゃないか。

1960年の安保闘争について、この人は、「安保闘争を分析した古典的名著(protest
in Tokyo)」と紹介し、その筆者の意見を引用してみせる。

これが古典的名著?日本語には翻訳されていない本ではないのか?。読んだ人が何人いるというのだ?「古典的名著」と称して、知らない者を見下ろすこの高慢さ。この古典的名著の筆者は、ライシャワー駐日大使の特別補佐官だった人で、現在、米日財団理事長をしている人なのだ。

1960年の安保闘争は、420万人以上(警察調べ)の国民がデモに参加した戦後最大の国民運動だった。その日本人の歴史を特別補佐官であった人の感想で総括する朝日新聞。

今朝の天木直人のメルマガにも、朝日のこの文について感想が出ていた。引用する。

「その文章の一節に次のようなくだりがあった。

 「・・・日米同盟は、戦争の勝者と敗者が二度と戦わないことを誓い、『信頼と和解』を基盤に築いた同盟である。言葉と文化を異にする両国が、その後ここまで信頼関係を深めたという点で、それは現代史の奇跡と言ってよい・・・」

 どのような頭脳をもってすればこのような言葉が出てくるのであろうか。
 日米安保条約の条文のどこを読んでもこのような実態は出てこない。」

子供のころ、昔の日本はなぜ愚かな戦争に進んだのか、なぜ、だれも止められなかったのか、と不思議に思ったものだ。当時は、みんなが、戦争に賛成する雰囲気だった、とはよくいわれる。

ヒットラーとの三国同盟、今なら馬鹿なとだれもいうが、当時は、海軍の少数派がわずかに反対するのみで、メデイアも識者も大賛成。

司馬遼太郎は、昭和前期を「魔法にかけられた時代」とし、日本史の中で特異な時代だった、といったが、残念ながら、特異ではないようだ。

今が、この時代が、まったく、その魔法にかけられた時代なのだろう。
イラク戦争を起こし、今なお戦争を続けるアメリカとの軍事同盟を進化させよう、と唱える
大新聞、メデイア。日米軍事同盟を見直そうという声はメデイアからはどこにもなく、国民の議論も起こらない。

あの時代と同じだ。どうして、こうなったんだろう。