虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

いやだなあ 自民の憲法改正原案

2012-02-28 | 新聞・テレビから
自民党の憲法改正原案が明らかになった、との記事あり。

ポイントをいくつかあげていたが、注目したのは、「天皇を元首とすること」「国旗、国歌は、国の表象とし、国民に尊重義務を課す」の二つ。おそらく、これは、今の天皇が一番迷惑に感じている項目にちがいない。天皇の意志や気持ちに関係なく、天皇を国民統治の道具にしようとするところは、明治初期の為政者から少しも進歩していないではないか。

国旗、国歌は、今まで、学校や教員の問題だったが、これからは、国民全体の問題になっていく。祭日には国旗、儀式では国民全体が国歌を歌うことが義務になる。国旗、国歌が良い国民かどうかを評価する踏み絵になる。

財政難をまねき、大震災・原発事故からの復旧の目途もたたない政治家達が、国民の暮らしとは関係のない憲法改正を急ぐ。米国や財界からの強い要望もあるのだろうが、おそらく、国民全体に野党的エネルギーが消え失せ、政治的無関心・保守化が頂点をきわめたような今こそ、憲法改正をいそがねば、と思っているにちがいない。今ならなんだってできる。なにしても国民は怒らない。今がチャンスだ、と。

政治が、政治家達がだめになって、力がないからこそ、憲法改正して、統治者の、権力者の力を強めておく必要があるのだろう。

「公益や公の秩序を害する結社は認めない」というのもある。公益とは、国家、その時の政府だろう、公の秩序とは、現在の国家経済秩序だろうか。そのうち、今の国の政治に批判することは認められない、と言い出すかもしれない。ますます、国民はおとなしくなり、物をいわなくなる。そういう国にするために、憲法を変える。この憲法改正は、国民のための改正ではなく、統治者のための改正だ。

自民党の原案だけど、おそらく民主党にも賛成者はいるし、公明党も、維新の会も、社民、共産の零細政党以外はおうむね、同意する。

選挙権を18歳に下げる、という議論もどこかで始めているようだが、これも憲法改正の国民投票のことを頭に入れているにちがいない。今は、年寄りよりも若者のほうが、若ければ若いほど(政治に無垢なので)、強い意見を聞くにちがいない、だましやすい、と。

今、高い理想をもった日本国憲法に手を加え、修正できるような高邁清潔な精神を持った政治家たちがいるとはとても思えない。まるで憲法が犯されるかのようだ。

あぶない、危険だ、と思うのだが、それとも、そんなにビクビクするようなことじゃないのか。そうだったらいいのだが。

ゼニが気になる

2012-02-27 | 新聞・テレビから
90歳の伯母が毎日、必ず、口にする言葉が「ゼニ」。冗談で口にするのだが、「どこかにゼニ落ちてないかな」「ゼニ、もらわないけんで」、「ゼニがないけん」等・・・。

90歳を過ぎ、自分でお金を使う必要はなく、ゼニの心配はしなくてもいいのだが、やはりゼニが一番、気になるようだ。年をとれば無欲恬淡になるなんてウソで、だれでも、死ぬまでゼニのことが頭から離れないのかもしれぬなあ。

わたしもそうだ。しばしばお金(サイフ)を落とすくせに(貧乏人に限ってそうだ、縁がないのだろう)、公正な取引でない場合、たとえ、1円でも気になる。特に、払う時には。
最近は、電気料金、水道料金、ガス料金の請求書はノートにはって点検するようにしている(笑)。

今、気になっているのは、米国が日米同盟見直しとかで、沖縄からグアムへの移転人数が減ったのに、移転費用は最初の予定から変わらないかも、という記事だ。米国は、かれら(日本)は寛大だ、なんて言ったらしいが、こんなことはゆるせない。

米国から一機何億もする戦闘機を書類だけで試乗もせずに、購入を決定したが、先日、田中防衛相は、米国に納期が遅れず、価格も変動しないように要請した、という記事を見た。要請した、ということは、納期が遅れ、値段も上がるのだろう。だいたいが、不要な買い物だ。

かなり前、三菱電機が防衛省に過大請求をしていたことがわかり、調査をする、という記事があったが、その後、この件に関する記事はまったく見ない。どうなっているのだ?

銀行の手数料もよくわからん。昔は銀行に入金するのに手数料なんていらなかったはずだ。ところが今では、ネット銀行などでは、お金を入金してあげても手数料をとられる。あの手数料、消費税どころではない、銀行にとっては、莫大な利益だろう。

払う必要のないゼニは払わない。90歳の伯母のように、もっと、ゼニのことを気にしよう。
どっかにゼニ落ちてまへんか?

有名弁護士

2012-02-24 | 新聞・テレビから
大阪市の強制的な思想アンケート調査や、業務メールの極秘調査には、まるで過去の恐怖政治時代か近未来の管理国家にタイムスリップしたようだ。前代未聞の事態なのに、職員からは誰一人声をあげられないとの記事に、心凍る思いだ。その調査を担当したのが特別顧問の弁護士野村修也氏だという。

橋下氏も、この野村氏も弁護士だが、弁護士は、思想、良心の自由という憲法の基本的人権さえ無視するのだろうか。

野村修也氏とはどんな人なのだろう、とウイキペデイアで経歴を調べてみた。

付属中学を卒業したあと、函館ラサール、中央大学法学部卒業。大学院を出た後、20代で西南大学法学部に就職し、大学院を出た後9年後にはもう中央大学法学部の教授になっている。まだ30代だ。大学の人事はどうなっているのか知らないが、教授って、こんな若さでなれるのか。

中央大学の教授になってからは、野村氏は次々と政府関係の役職を引き受ける。
金融庁、法務省、内閣府、経産省、総務省、環境省、国土交通省、日本学術会議等・・、いちいち書き出すのもめんどうなのでやめよう。なぜ、こうも次々と、政府関係の役職につくのか。政府にとって、都合がよく重宝な人材だったのか、あるいは、本人にとって政府関係の役職につくことは権威づけ、人脈作りなど何らかの利得があったのか、それは知らない。

経歴を見ると、その時の政局の焦点となったり、国民の関心の集まる部局に見事にコミットしているので驚く。いわく、新司法試験問題検討委員、郵政民営化推進委員、年金記録問題検討委員、行政刷新委員、なんと、今年は、大阪市の特別顧問と共に、原子力発電所事故調査委員会委員にまで顔を出している。政界に野心でもあるのかしらん。

そのほか、わたしは知らなかったが、テレビ番組もかつて持っていて、コメンテーターとしても活躍していた人だという。

こういう忙しい人物だが、新司法試験の選考委員も務めているそうだ。いったい、どんな人物を選考するのだろう。

弁護士とは、弱い庶民を憲法や法律で守ってくれる正義の人というイメージがあったけど、今の御時世は、権力者のために、守ってあげるのが主流なのかもしれぬ。

こういう人物が、司法試験の選考委員になっているということがこの国の司法の世界を象徴しているにちがいない。


恥の上ぬり 記者有論

2012-02-15 | 新聞・テレビから
2日前に朝日の橋下インタビュー記事は無内容で、もう1度出直せ、と書いたが、今朝の朝日の「記者有論」というコラムには、あのインタビューをした政治部次長鮫島浩が「橋下徹さま、ぜひ第2ラウンンドを」という見出しで、文を書いている(言い訳か?)。

鮫島記者は、東京本社の政治部次長だが、論戦力のある橋下氏には「とても一人では太刀打ちできまい」と思って、オピニオンの編集委員をひきつれ二人で質問した、とある。他に政治部の同僚達も同席した、とある。

「不毛な論争にはしたくない」。そう打ち合わせて市役所にのぞんだ、と書く。橋下氏もまた、「不毛な論争は避けたにちがいない」とある。その結果が、あの無内容な記事。しかし、市長就任後、新聞では初めての単独インタビューだ、とまるで手柄顔。

だれが記者に論争をしてほしい、などと思っているだろうか。読者は、ただ、記者が、取材相手から、どれだけその本音を、隠された必要な情報を、引き出すか、それを期待している。そのためには、記者は取材相手が答えざるを得ないような周到な事前調査と、鋭い質問力、記者の力量が試されるのだ。

このインタビューの翌日に、維新の会の「船中八策」の骨子が発表された。あのインタビューでは、「船中八策」の具体的なことは何一つ聞き出せていない。記者として恥ずかしくないのだろうか。

おそらくこの鮫島浩は、何の用意もなく、ただ「政治部次長」という肩書きだけで、橋下氏にのぞんだにちがいない。まったく脳天気だ。

たしか、あの時のインタビューで「そのエネルギーはどこから?」と質問し、橋下氏は「朝日新聞があるからですよ」と答えている。つまり、朝日が批判するから、負けるか、と思って、エネルギーを出す、という意味だ。朝日は、橋下氏については何の批判もしていないので、おそらく返答に困ったはず。続けて、「なぜ、橋下氏はメディアから厳しく批判されるのですか?」と質問していた(馬鹿な質問だ)。橋下氏は、「メディアは権力を批判するのが仕事です。メデイアが権力に同調したら、存在意義はないでしょう」とまるで小学生に教えるように言われていた。

さて、この政治部長鮫島浩は、「橋下徹・大阪市長はいまや日本政界の主役である」とこのコラムを書き始め、初めて会った印象を「意外にも小さかった」と書く。「威圧感がなかった」ということらしい。「あえて自分を小さく見せるのは本当の自信がなければできない」と橋下氏を持ち上げる。
鮫島氏は、ただただ橋下氏が首相への意欲があるかどうかを知りたかったようで、「橋下氏は首相を狙うのか、1時間半で確信するに到らなかった。橋下さん、第2ラウンドはいかがですか?」が結びだ。

これが毎日購読している朝日新聞の政治部次長の力量。無惨、というに尽きるではないか。

維新の会「船中八策」

2012-02-14 | 新聞・テレビから

大阪市民の圧倒的支持を得たとされる橋下氏の維新の会が「船中八策」なるものを発表した。
小泉さんの「自民党をぶっこわす」を見習ったのか、「既成政党、秩序をぶっこわす」と耳目を集めた「船中八策」。

経済政策は、法人税率と所得税率を下げる。TPPに参加、農業に株式会社参入をすすめる、等々、現在の財界から大歓迎される言葉が並ぶ。原発についての言葉はなく、「脱原発」とは以前、言っていたが、当然、原発推進の立場だろうな。

行財政改革も国会議員の定数削減、人件費カットと今の政府与党と言っていることと変わらない。

外交、防衛もしかり。日米同盟を強化、領土を自力で守るありかたを検討と、自民党さんの喜びそうな言葉が並ぶ。

そして、憲法改正。やっぱりな、と思う。あの教育基本条例や職員基本条例の思想の最終目的はこれだろう。ただ、まだ憲法九条を変えろ、とは言っていない(そのうち言うと思うけど)。首相公選制、参議院の廃止、代わりに首長を議員にして、参議員に代えるという。

国会議員の定数を削減し、なお衆議院だけにし、代わって首長を議員にするということは、国民の代表者はあまり必要ないという考えだろう。少ない国会議員と自治体の首長で国の政治を決める。幅広い層からの代表者はいらない、というのは大問題だ。反対だ。

橋下氏は、「統治機構の改革」ということをよく言う。「職員基本条例」の法制化を言う。
橋下氏は、政治は統治者がおこなう。そのためには、上意下達が徹底され、上の命令を忠実に果たす組織が必要なのだろう。強者のための強者による政治を目指している、と思う。

外交や憲法論がある中に、突然、教育改革として、「学習塾バウチャー制度の導入」という「船中八策」らしからぬ言葉もある。これは市民への選挙用の甘言なのか?国が家庭に進学塾代を税金で払う?受験制度や教育についての考察はなにもない。

社会保障制度については、掛け捨て性とか積み立て性とかよくわからぬ。政府が国民に現金を給付する制度を考えるという。

要するに、競争して儲ける者は儲ける、格差はやむをえない。ただ、競争に負けて困っている者がでたら、すこし現金を給付するので、がまんしろ、ということかもしれない。

坂本龍馬の「船中八策」といえば、徳川時代の制度の中で、次の近代の社会制度の青写真を示したものとされるが、橋下氏の「船中八策」は自民、民主、財界のウルトラ右派の政策をうちあげただけではないか。だからこそ、メデイアも権力者達もすすり寄る。大震災以来、政治家や財界、この国の権力者たちへの不信、不人気が続く中で、起死回生の駒とみているに違いない。

ところで、なぜ「船中八策」と名付けたのだろう。ひょっとして、船中八策の第一条「天下の政権を朝廷に奉還しめ、政令宜しく朝廷より出づべき事」に同意しているのかもしれないぞ。




朝日の橋下インタビュー 

2012-02-12 | 新聞・テレビから
今朝の朝日のオピニオン欄は、橋下インタビュー記事。
あきれてしまった。まるで、小・中学生か10代のタレントに橋下をインタビューさせたような内容。わたしが、デスクなら、この記事は内容がない、とボツにし、もう1度インタビューしてこい!とやり直しを命じるだろう。ところが、なんと、聞き手は政治部次長鮫島浩、編集委員 刀祢館正明とある。朝日の幹部二人がインタビューにのぞんだわけだ。

1ページの4分の3を費やして二人が橋下氏から聞き出したことといえば、「日本が、今の生活レベルを維持しようとすれば、競争をしなければならず、国民みんなの努力と覚悟が必要」、これだけ。だれでもが言う抽象的一般的な言葉だけだ。

はじめの質問がまずふざけている。「まず、政治家として実現したい「日本社会」の姿を聞きたい。あくまでも経済成長を追いかけるのか、身の丈に合った暮らしがいいのか。どちらですか」。
愚問だろう。橋下氏に聞くより、まず自分で答えられるか自分に問うてみよ。

また、「国民みんながありとあらゆることで「選択」や「競争」を迫られるのは、けっこう大変ですね、などと言葉をはさんでいる。「けっこう大変ですね」とは、のんきなもんだぜ。

とにかく、馬鹿な質問ばかりしている。インタビューというより、橋下氏と話を交わさせてもらっている、という感じだ。後半は、「維新の会は、既存政党と連携するのですか」ばかり、くりかえし聞いている。政治部記者というより、政局記者らしく、ただただ政局だけが気になるのだろう。

大阪府の職員基本条例や教育基本条例のことは一切、出てこない。政治部記者なら、現在の大阪のこの基本条例こそが、まさに日本で進行している政治であり、大問題なのだが、まったく追求しない。それでもジャナーリストなのだろうか。

公民員や教員は、橋下氏の方針では、民間のように、S,A,B,C、Dと評価するそうだが、新聞記者として、このインタビューを書いた記者を評価するなら、Dはまちがいない。しかし、この二人は、幹部だから、きっと上司として部下を評価する立場にあるのだろう。こういう上司がいるから、いい記事はDと評価され、つまらん記事がAと評価されるのだろうなあ。

橋下氏もなんだこの記者は?とほくそ笑んだのではないか。

だから購読者が減る

2012-02-03 | 新聞・テレビから
朝日の耕論。今日は「首長は教育にどう関わるか」で、大阪の教育基本条例のことなのだろう。首長(政治家)が教育の目標を考え、教育に介入するなんて、文部科学省でさえ、違法ではないか、と指摘しているのに、朝日はこの問題を正面から論じたことはないような気がする。ただ、いつも「政治と教育に一線を画してきた戦後の教育制度を変えることにつながりかねないため、文部科学省が違法性を指摘するなど議論を呼んでいる」などと人ごとのような書き方。

で、この耕論に登場させた人は、教育委員の陰山英男、元大阪府顧問の藤原和博、高校校長の荒瀬克己の3人。この人選はなんだ!。耕論するなら、なぜ、先日、東京地裁で敗訴になった元三鷹高校校長土肥信雄氏あたりを出さない。陰山氏も藤原氏も、教育基本条例賛成の立場、あとの一人は関係のない議論で、耕論にもならない。こんな記事ばかりをのせるから、購読者が減る。

朝日は、もはや「首長(政治家)が教育に関わることの是非は問わないのかもしれない。今日の題は「首長は教育にどう関わるか」だから、首長が教育に関わるのは当然の前提なのか。

それにしても、大阪の教育基本条例についての反対の声が少ないのは驚く。教育学者、政治学者、歴史学者からの声がない。社民党や共産党からの声も聞こえない(ただ、目に耳にできないだけなのだろうか)。いや、教師の声、「教え子を戦場に送るな」とかつて主張した教師の組合からの声も聞こえてこない。報道されてないだけなのだろうか。大阪の教育委員たちも、あまりにも反対論が少ないので、橋本氏にすりよったのだろう。

保護者、市民はどうなのか。学校で、豊かな感性を身につけ、我が子が自由に自分の人格を伸ばしてもらいたい、などとはおそらくまったく考えてないのかも。ただ、我が子の学力が少しでも上がり、人よりも少しでもいい学校に進学できたらいいのかもしれない。その点、橋下氏は、塾代も援助するなんてことを言っているから、橋下氏に期待しているのだろうか。

教育基本条例について、ほとんどどこからも(学者からもメデイアからも、国民からも)、強い反論が起きない、ということと、あの大震災や原発事故の対応についての、政府や東電、原子力関係者への批判が大きな勢力をもたないこと、税と社会保障の一体改革についても、いや、ほかのあらゆることに一方的な言説だけが横行していることと似ていると思う。

気がつくと、すでにファシズムの世界か?