古本屋でゴーリキーを手に入れた。
ロシア文学全集11(日本ブック・クラブ)のゴリキー集。中身は、「幼年時代、人々の中で、私の大学」。3つの自伝が1冊におさまったもので、今ではなかなか得がたい1冊だ。ゴーリキーは、特にその自伝文学が傑作だとされている。ロシアの民衆の暮らしがまるでルポルタージュのように描かれる。
トルストイもツルゲーネフもクロポトキンもロシアの人々と生活を描いたが、かれらは貴族だ。ドストエフスキーやチェーホフは貴族ではないが、生活はまあ中流で(ふたしかだが)、だからこそインテリゲンチャだ。だが、ゴーリキーは10歳にして父母がなく、貧困の中で働きながら各地を放浪する、という底辺を生きる。ナロードニキたちは、人民の中へを合言葉に貧しい民衆に近づくが、ゴーリキーはまさにその民衆の一人。
まだ読み始めたばかりだけど、ゴーリキーだから書けると思ったところを一つ。
ゴーリキーは幼いころ、祖父にムチでたたかれて折檻されるが、そのとき捨て子のやさしいツイガーノフ青年が出てくる。この青年はゴーリキーがムチの刑を受けるとき、そっと自分の腕を出してゴーリキーの代わりにムチの一部を受けるのだが、この青年がゴーリキーにこんなことを言う。
「こんどまた折檻されるようなことがあったら、いいか、身体を縮めるんじゃないぜ、-わかるかい?身体ちぢめるとな、二倍も痛いんだぜ、それより身体を楽にして軟らかくしておくんだーゼリーみたいになって寝てるんだ!それからな、息をとめちゃいかん、息は十分にして、ありったけの声をだして、ワアワア泣くんだーおまえ、このことを覚えてろよ、そうすりゃ大丈夫だからな」
これは、実際に拷問、折檻にあった人だけがいえる体験談だと思う。わたしは、まだ拷問はされたことがないけど、病院の検査などで、だれでも似たようなことはされたことがあるだろう。とんでもないところに注射をされたり、管をつっこまれたり、時に検査は手術よりつらいときがある。そういうとき、身体をゆるくし、力をぬき、息をすると、たしかに楽。身体を固くしたほうが痛い。
この青年の教えはその通りだ。まあ、病院ではワアワア泣けないけど。
ロシア文学全集11(日本ブック・クラブ)のゴリキー集。中身は、「幼年時代、人々の中で、私の大学」。3つの自伝が1冊におさまったもので、今ではなかなか得がたい1冊だ。ゴーリキーは、特にその自伝文学が傑作だとされている。ロシアの民衆の暮らしがまるでルポルタージュのように描かれる。
トルストイもツルゲーネフもクロポトキンもロシアの人々と生活を描いたが、かれらは貴族だ。ドストエフスキーやチェーホフは貴族ではないが、生活はまあ中流で(ふたしかだが)、だからこそインテリゲンチャだ。だが、ゴーリキーは10歳にして父母がなく、貧困の中で働きながら各地を放浪する、という底辺を生きる。ナロードニキたちは、人民の中へを合言葉に貧しい民衆に近づくが、ゴーリキーはまさにその民衆の一人。
まだ読み始めたばかりだけど、ゴーリキーだから書けると思ったところを一つ。
ゴーリキーは幼いころ、祖父にムチでたたかれて折檻されるが、そのとき捨て子のやさしいツイガーノフ青年が出てくる。この青年はゴーリキーがムチの刑を受けるとき、そっと自分の腕を出してゴーリキーの代わりにムチの一部を受けるのだが、この青年がゴーリキーにこんなことを言う。
「こんどまた折檻されるようなことがあったら、いいか、身体を縮めるんじゃないぜ、-わかるかい?身体ちぢめるとな、二倍も痛いんだぜ、それより身体を楽にして軟らかくしておくんだーゼリーみたいになって寝てるんだ!それからな、息をとめちゃいかん、息は十分にして、ありったけの声をだして、ワアワア泣くんだーおまえ、このことを覚えてろよ、そうすりゃ大丈夫だからな」
これは、実際に拷問、折檻にあった人だけがいえる体験談だと思う。わたしは、まだ拷問はされたことがないけど、病院の検査などで、だれでも似たようなことはされたことがあるだろう。とんでもないところに注射をされたり、管をつっこまれたり、時に検査は手術よりつらいときがある。そういうとき、身体をゆるくし、力をぬき、息をすると、たしかに楽。身体を固くしたほうが痛い。
この青年の教えはその通りだ。まあ、病院ではワアワア泣けないけど。