ジャーナリスト溝口敦は「やくざ」のノンフイクションで知られ、最近も、息子さんが山口組の暴力団に刺されたが、脅迫に負けずに執筆活動を続けている。いまどき珍しい硬派のジャーナリストだと思っていた。でも、今まで1冊も読んだことがなかった。細木数子についての本も出していて、出版社が細木から6億円の損害賠償を訴えられたそうだが、この本も読んでない。読みたい、と今は思う。
この溝口敦が27歳のときに、大塩平八郎を小説にしている。「反乱者の魂 小説大塩平八郎」(三一書房)がそれだ。1970年の出版。古本ネットで手に入れた。
美吉屋に格之助と二人で潜伏している大塩が書く手記(回想記)という形で、大塩の生い立ちや、経歴、乱への経過などを書く。史実を要領よくおさえていて、大塩の心理、思想は別にして、これだけでも大塩平八郎の人や乱の基本的なことはわかるようになっている。ただし、その後、発見された大塩の建議書のことなどは当然ふれられていないので、これで大塩のことがすべてわかるわけではない。
1箇所、著者の独創がなされていて、それは、格之助の嫁みねとの関係。天神祭の夜にみねと1回だけ口づけをする(それだけ)。養子格之助の妻みねとの関係は吉見九郎右衛門の密訴でいわれたことだが、火のないところに煙は立たずで、同僚からは、二人は親密に見えたのかもしれない。あるいは、吉見からはそう勘ぐりたくなるほど、おみねさんは格別の美人だったのかもしれない。
溝口敦は、若いころに大塩平八郎の乱に強い関心をもった人なのだ、ということがはじめてわかった。細木数子や山口組に関する本がどのような内容かは知らないけど、反骨のジャーナリストだと想像した。
この溝口敦が27歳のときに、大塩平八郎を小説にしている。「反乱者の魂 小説大塩平八郎」(三一書房)がそれだ。1970年の出版。古本ネットで手に入れた。
美吉屋に格之助と二人で潜伏している大塩が書く手記(回想記)という形で、大塩の生い立ちや、経歴、乱への経過などを書く。史実を要領よくおさえていて、大塩の心理、思想は別にして、これだけでも大塩平八郎の人や乱の基本的なことはわかるようになっている。ただし、その後、発見された大塩の建議書のことなどは当然ふれられていないので、これで大塩のことがすべてわかるわけではない。
1箇所、著者の独創がなされていて、それは、格之助の嫁みねとの関係。天神祭の夜にみねと1回だけ口づけをする(それだけ)。養子格之助の妻みねとの関係は吉見九郎右衛門の密訴でいわれたことだが、火のないところに煙は立たずで、同僚からは、二人は親密に見えたのかもしれない。あるいは、吉見からはそう勘ぐりたくなるほど、おみねさんは格別の美人だったのかもしれない。
溝口敦は、若いころに大塩平八郎の乱に強い関心をもった人なのだ、ということがはじめてわかった。細木数子や山口組に関する本がどのような内容かは知らないけど、反骨のジャーナリストだと想像した。