虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

残業と賃金 

2014-04-29 | 新聞・テレビから
昨日の朝日の社説。「残業と賃金 成果主義を言う前に」。


まったくペテンのような文章で、煙に巻くだけ。

冒頭。「何時間働いたかではなく、どんな成果をあげたかで賃金が決まる。それ自体は、合理的な考え方だ」。

どこが合理的だ。労働者は、生きるために、自分の生活の主要な時間を労働時間として、経営者に売っている。何時間働くか、は、大事な問題で、成果をいうのは、経営者サイドの考え方だ。だいいいち、なにが成果なのか。

この記者にとっては、成果とはなんだろう。新聞社の収入をふやすことか。だったら、広告収入が入るように、大企業のおべんちゃらに努めるべきか。しかし、そうなったら、読者から見離され、購読部数は減ってしまうことになる。すぐに目に見えてわかる成果もあれば、長い年月をかけて出てくる成果もある。成果がなく、失敗であっても、それは、成果に転じることもある。成果なんてわからないのだ。

残業代ゼロは、政府の産業競争力会議で、長谷川閑史氏(武田製薬、経済同友会)の提案だが、朝日は、この長谷川氏を朝日が主催する教育フォーラムの顧問格にすえている。今日の朝刊には、教育フォーラムにおけるこの長谷川氏の基調講演ものせている。

「長谷川氏の提案は、長時間は働けない子育て・親介護世代や女性、高齢者の活用を期待してのことだという。だが、短い時間で高い成果をあげる人を活用し、高い給料を払うことに何ら期制はない。経営者の取り組みに大いに期待したい」。

「働き方を柔軟にすることは望ましい」とも書く。

せっかく、以前、他の記者が残業代ゼロというスクープ記事を書いたのに、社説子は、長谷川氏の提案を否定できない。無下に反対できない事情がおありなのだろう。

で、こういう文章になる。哀れ、というべきか・・・・。

メデイアが知らせたくないこと

2014-04-19 | 新聞・テレビから
今朝の朝刊(朝日)、4面に、「参院、原子力協定を承認」の文章6本の小さな記事。原発輸出を可能にする原子力協定が成立したのだ。テレビでは、国会議員の80パーセントが賛成とあった。衆院ではたしか90パーセントの賛成ではなかったか。

その下に、「原子力委の改革法案を閣議決定」の4本の文章の記事。原子力委員会の役割を変えるための法律で、委員も現行の5人から3人に減らすそうだ。

片隅にのせるような記事なのか?

これらの小さな記事について、朝日は社説に書くのだろうか。

最近、成立する法案に、自民、民主、公明の賛成というのが多い。

「国民投票法の改正」も自民、民主、公明、その他党もいれてたぶん80パーセントの国会議員が賛成だ。

「国民投票法」というのは、憲法改正のための手続き法だ。今の国会議員の80パーセントは憲法改正に賛成なのだ。この国民投票法の改正は、投票年齢を18歳にまで下げるそうだが、改憲派は大歓迎だろう。18歳では政治判断なんてできないよ。そして、問題はこの国民投票法は、最低投票率のきまりがないことだ。少ない投票率でも、憲法改正ができることになる。

しかし、この「国民投票法の改正」についても、メデイアはほとんどふれない。「国民投票法」の問題点の解説をしようとしない。国民は知らせないままだ。

最後に、消費税増税。便乗値上げ、庶民生活や零細商店の困窮など経済の大きな変化があるはずだが、まったく知らん顔している。まるで、消費増税のマイナス面は報じないように、と政府と連携しているかのよう。消費税10パーセントになったら、生活必需品(食べ物)の軽減税率を、という議論もまったくなし。

スタップ細胞の記者会見、記者が300人以上集まり、3時間近くあったそうだが、なぜ、東電や、政府に、あのくらいの熱心さで質問ができないのだろうか。


騙しのテクニック 

2014-04-14 | 新聞・テレビから
政府税制調査会が「配偶者控除」の検討を始める、とテレビで報道していた。以前にも、朝日新聞で、「配偶者控除」の廃止について検討する予定、と出ていたが、その時の紙面では、「女性の社会進出のため」とあった。今日のテレビ報道でも、成長戦略のひとつ、女性の活躍を応援、とくる。目的は庶民からとことん搾り取ろうとする増収策でしかない。

「配偶者控除」の廃止を「女性の社会進出のため」とほんとに国民は思うのだろうか。

似たような手口は、あまりにも多すぎる。

「武器輸出三原則」が、今度は「防衛装備移転三原則」とくる。
「消費税増税」が、「社会保障と税の一体改革」とくる。
「復興特別法人税」の廃止を「賃金をあげるため」と説く。
野党といっても、90パーセントの国会議員は与党と変わらないのに、メデイアは、与野党激論といい、野党再編成とくる。
大企業を財政援助をし、財政難は庶民からの徴収でという政策(政策でもなんでもない)を「アベノミクス」と称する。
福島原発事故は「完全にコントロールされている」と世界に宣言する首相。
まだまだTPPとか、例はたくさんあって、あげきれない。

高木重朗の「魔法の心理学」「トリックの心理学」(講談社現代新書)は、マジックの入門書として、わたしの好きな本だが、まさに、最近の政府やメデイアの手口は、この「トリックの心理学」、いや、騙しのテクニックを駆使したものだ。

こんな簡単な騙しの手口にのってよいのだろうか。
手品なら、いい。騙されるのが楽しいし、むしろ騙されたい。うまく騙してくれたら拍手だ。

ひょっとして、手品の世界ではなく、政治でも、人々は、騙されたいのだろうか。「配偶者控除」の廃止を「女性の社会進出」という政府を「うまい!座布団一枚!」と感心するのかもしれぬ。「原発はコントロールされている」と堂々と宣言する首相に大拍手しているのかもしれぬ。安倍政権の支持率とは、観客の騙しのテクニックの評価かもしれない。

しかし、これは、手品の世界ではないんだが・・・・。