虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

線引き 書き込みの古本

2010-02-03 | 読書
最近は、線引き、書き込みの古本をとんと見なくなった。

ブックオフは当然だが、ふつうの古本屋さんでも、線引き、書き込みは嫌われるのか、店頭に出していない。しかし、昔の古本屋はこうではなかった。けっこうたくさんあった。わたしなども、平気で線引き、書き込みのある本を買ったものだ。線引き、書き込みを見ると、以前にその本を読んだ人の本との格闘のようすがわかる気がして、それはそれなりに趣があった。

今は、読書するときも、線引きをしたりしないのかもしれない。

わたしは、線引きをする男だ。学校の教科書なんか、線引き、書き込みで真っ黒だった。
線引きにも性格が出て、まさに乱雑そのもの。
といって、真面目に勉強したあかしではなくて、線をひかないと、理解できないからだ。
線をひくと、読んだような気になる。そういうタイプ(もちろん、小説は線引きはしないけど)。

重要なところを定規できれいに線をひく人もいるが、ああいうのではなくて、めったやたら、言葉全部がわからないから、「それで」「とか「しかし」とかあまり重要でない言葉にまで線を引く。頭ではわからないから、肉体(指)を動かし、ページをペンで削るという作業をすることによって、なんとか読んでる、かじっている、という気になれる。結局、わからないにしても、線引きのあとがあると、おお、これだけおれは読んだのだ、という気持ちにもなる(笑)。

しかし、古本としては、線引きは落第とされる。転売しようと思えば、本の帯、パラフィン紙も大切にとっておき、ページを折ったりしてはいけない、線引き、書き込みなど厳禁になる。
しかし、本をきれいに読んで、読書ができるだろうか、と疑問に思う。

線引き、書き込みは、以前の読書人の本との対話の跡だ。中には、「これはちがう、著者はまちがってる」なんて自分の考えを書いた書き込みもあったりして、興味深いものだ。

古本うしおに堂では、「傷だらけの名著」コーナーも設けたので、安心して線引きのある本もアップできるようになりました(笑)

画像は、「伝統的革新思想論」(百姓の不服従の論理について書いた本)の一ページ。線引きあるので、ショップからは削除したけど、また、アップしてみよう。だめ?