虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

田中正造文集〈二)

2005-04-17 | 読書
石川啄木は、日本にはヴ・ナロード!と叫ぶものなし、と嘆いたけど、田中正造をどう見ていたのだろう?

田中正造は、ちょうどロシアでナロードニキ運動に飛びこんでいった若者と同世代です。
もちろん、正造は、ロシアの運動や思想に影響を受けたわけではないけど、正造こそ、人民の中に入って闘った人ですね。ロシア人も、田中正造の存在を知ったら、きっと尊敬するでしょうね。

田中正造は全集が19巻もあるとかで、研究者やよっぽどのファンでないかぎり、なかなか読むことはできませんね。その点、岩波文庫が、コンパクトに2冊の文庫にまとめたのは賢明。これなら、少しかじってみようか、という気になる。

やはり、文集の〈二)がいいですね。当時も、そして今も、正造の発想は一般の理解と賛成を得られてないけど(日露戦争よりも、谷中の鉱毒のが大事だ、という視点)、しかし、正造は、どうせ話してもわかってくれないと、あきらめ、沈黙するような人ではありません。

「人は正直で、強い正直でなければ用に立たぬ。弱い正直は役にたたぬ」とか、「人ばかりたよるこじきこんじょうになってはこまります。どこまでも自分でやるせいしんはなくなさないようにねがいます。よわい心ではいけぬ」と、いっています。

やっぱり、気が弱いのはあかんなあ。

渡辺京二「江戸という幻景」(弦書房)

2005-04-17 | 読書
渡辺京二「江戸という幻景」(弦書房)を図書館で借りました。
これは、同じ著者の「逝きし世の面影」の姉妹編といった本です。

「逝きし世の面影」は、幕末明治に日本を訪れた外国人の記録を通して、江戸時代の日本人の姿を探ったものですが(おもしろかった)、これは、日本人の記録から見た江戸の世の中のようすです。

記録者として登場する人は、勝小吉、渡辺崋山、高山彦九郎、川路聖ばく、清河八郎、菅江真澄など50名ほど。

例によって、走り読みしただけど、「真情と情愛」という章が印象に残った。江戸人の情愛深さ、人や動物への子どものような純真なやさしさがあった、という記述。

江戸時代に住んだことはないけど、ああ、こういう人たちが昔はいたなあ、となつかしく感じられるのはなぜだろう?

走り読みしたので、清河八郎がどのページに出たのかわからなかった。