虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

ロシア革命と明治維新

2005-04-12 | 日記
「フランス革命と明治維新」というタイトルの本はいくつか出ているけど、ロシア革命と明治維新という本は出てないのかもしれない。ロシア革命は20世紀だけど、幕末日本と同様19世紀半ばから動き出しているし、1905年、日露戦争までの両国の半世紀の歩みを比較してみるのもおもしろいと思う。

両国とも、ヨーロッパ文明との接触で自国の後進性に気づいて改革に向かうのだけど、ロシアは、日本とちがって、西洋の技術よりも思想により衝撃を受けている感じですね。ヨーロッパはやはり近いから気軽にいけたのでしょうね。

もし、日本が、幕府時代に、ルソーやフランス革命などの思想が入ってきていたら、どうなっていただろう、と考えるのも楽しい。ロシアのナロードニキたちは、フランス革命をかなり学んでいます。

幕末の政治運動は、攘夷か開国が主なテーマで、人々のために、とか身分差別からの解放なんてテーマはほとんど出てこなかったけど、ロシアの場合は、農民の解放が中心テーマですね。それだけロシアの農民(農奴制)の環境はひどかった。当時の日本の農民は世界の中ではうらやましがられる環境だったのかもしれない。

ロシアって、反逆者が英雄になる土地ですね。デカプリストの乱は英雄たちの伝説になっているし、その前のプガチョフの乱、ステン・カラージンの乱など、農民一揆の指導者は英雄としてあつかわれている。プーシキンなどの国民作家が、農民一揆の指導者について書いているくらいだもの。日本では、百姓一揆もたくさんあったし、大塩平八郎も出たけど、一般的にはやはり暴民扱い。

19世紀のロシア文学を読むと、資本主義時代の前の庶民の、生活は苦しいけど、実に人なつこくて、やさしい気持ちを持った人々がでてきて、なつかしい思いもします。何の仕事もせずにブラブラとしているニートみたいな人が出てくるけど、仕事仕事ばかりで、イライラしてばかりのわれわれよりましかも。