虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

ナロードニキの本

2005-04-11 | 読書
1870年代のナロードニキの青年たちの運動について書いた本はあまりありません。
解説書としては、荒畑寒村が岩波新書に書いた「ロシア革命運動の曙」。同じく荒畑寒村が書いた「ロシア革命前史」(筑摩書房)があるだけ。荒畑寒村は、クロポトキンやトルストイの同時代人といってもよく、日本のだれよりもナロードニキに共感を持ってしかるべき人なのでしょう。

ナロードニキ運動の体験者の本としては、2冊あります。

クロポトキンの「ある革命家の思い出」(岩波文庫、世界教養全集)。これはおもしろいし、この時代のロシアのことをわかりやすく教えてくれます。

もうひとつが、ヴェーラ・フィグネル「遥かなる革命」(批評社)。
これは先日、図書館で借りてきたけど、大部の著作で、借り出し期限がきたので、ペラペラめくっただけでもう返してしまった。

小説では、ツルゲーネフの「処女地」というのが、ナロードニキ運動を題材にしているそうだけど、未読。

チェーホフにも探したらありそうです。短編「中二階のある家」は、「わたし」が中二階のある家の姉妹と知り合いになり、妹と親しくなるのですが、姉に別れさせられる、という話。
この家は、もともとかなり資産のある裕福な一家なのですが、姉は村の小学校の教師となり、その月給だけで自活し、村のボスとたたかおうとしています。この姉はナロードニキでしょう。
「わたし」は口先ばかりで、ただブラブラしているので、この姉からは冷たくされてます。
女性の自立というのも、この時代のロシアから始まったのかもしれません。しかし、どこが名作なのか、わたしにはわからなかった。

他にもナロードニキの本でごぞんじのことがありましたら、教えてね。