らんかみち

童話から老話まで

日本人の作ったバイオリンを買いたいが

2013年11月04日 | クラシック音楽
『至高のバイオリン ストラディバリウス』という番組、まぁだこんな番組が成立するのかって、腹立たしく観た人も多かったんじゃなかろうか。当代のバイオリン製作家にとっては侮辱だよね。

 現代の一流バイオリン製作家で、ストラディバリの技術に劣っていると思っている人はいないはず。ストラディバリの時代ですら、ドイツのヤーコプ・シュタイナーという製作家の方が評価されていたんだから。

 ぼくは二人のバイオリニストに師事した。お二人とも1000万円以上といわれるバイオリンを弾いていたけど、音は良くなかった。最初の先生のバイオリンは低音が弱かったし、次の先生は高音が下品だった。どちらも100年以上も前に作られたバイオリンだったけど、現代のバイオリンの方が良く鳴ると思えた。

 その理由は、実は先生も分かっているんだけど、古い弾き込まれたバイオリンは音が出やすく、新作バイオリンは鳴らないからだ。バイオリンは名手に弾き込まれれば弾き込まれるほど真価を発揮する。新作バイオリンは怖くて使えない。

 でもストラディバリの師匠であるニコロ・アマティの制作したバイオリンは「枯れ始めているのではないか」と30年ほど前からささやかれていた。
 ストラッドもいずれ枯れるときが来るだろう。それがいつなのかは分からないけど、日本人バイオリン製作家の作品がもてはやされる日は必ず来ると信じている。今買うなら日本人の作ったバイオリンだ。ぼくには買えないけど。