らんかみち

童話から老話まで

タンクを塗り直すように、物語を糊塗する愚

2010年07月29日 | 童話
 旅の途中でガソリンスタンドに立ち寄ったとき、あまりの暑さに長袖シャツの下に着ていたTシャツを脱ぐために裸になりました。もちろん女性店員だったらやりませんが、相手は若い男性だったのです。しかしいきなりのことで彼も面食らったか、満タンになってガソリンをタンクにこぼしてしまいました。
 しくじった彼は懸命に拭き取ってくれたものの、ガソリンの流れた跡が残ってしまいました。これは変だ! と、ぼくは間違った塗料、耐油性の無い塗料でクリアー塗装をしていたことに気がつきました。
 
 旅から帰ってガソリンをタンクにかけてみたら、あらら、やっぱり溶ける! 本来ならこの上に二液ウレタン塗料をかけるだけで良いはずですが、いっそのこと色を変えてやろうと思いつくのに、時間はかかりませんでしたが、塗り直すのには相当な労力を必要とされました。
 まずは黒い部分にサランラップをかけ、ガソリンを流して塗料をはぎ取り、サンドペーパーをかけてシルバーを吹き付けます。この色だって普通のシルバーではなくブルーイッシュシルバーなのですが、ホームセンターでずいぶん悩んで買いました。その甲斐あって、選色としては正解かな。
 
 それは良かったけど、マスキングで失敗をし、重ねて磨きすぎて下の色(シルバー)が見えて汚いったらありゃしない。一見すると非常にきれいなだけに、かえって悔しい。
 ぼくは丹精込めて最後に失敗するタチで、物語とか書いても最後に蛇足を付けて全てを台無しにすることも少なくありません。今書いている30枚作品も終わりまで見えているので、最後の一行が蛇足なのかどうか、きな臭いぞ。というか、今回は物語が、主人公が、勝手に動き始めない。ひょっとして間違った塗装を施しているのなら途中で引き返すべきか、悩ましい。