らんかみち

童話から老話まで

そば業界を信じちゃいないけど

2010年07月10日 | 酒、食
 下の姉が「そば打ち教室に行った」いうので、そば切り包丁をプレゼントしたところ「地元のそば粉を打ってみぃ」と、土産物屋で買った風な粉をくれました。少し前のことなんですが、袋の上からさわって、あ、こりゃだめだと直感が働いてしばらく放置しておりました。
 
 えらそうなことを言って、とおしかりをいただくかもしれませんが、そばを打つ者ならだれでも知ってますし、打てなくてもすぐに分かることです。指で押してみてギュッギュッと片栗粉のような音と感触があれば、それは古くなっているか、あるいは高速回転する機械で粉にして、水分が飛んでしまった粉なんです。
 
 そば打ち初心者だと、こういう粉はつながりません。ちょっとしたこつが必要なんですが、ぼくにはその技術があるんだぞ! と、二八、つまりうどん粉を二割混ぜて打ち始めたところ、そんな馬鹿な! もうすでにうどん粉が三割ほど混ざっている粉だったのです。
 
 つながらないそば粉をつながるように、うどん粉をあらかじめ混ぜている。いくら土産物屋だといっても、人を馬鹿にするなと言いたくなりますよね。でもぼくはそんな大人げないこと言いません。
 そば粉屋というのは、いつも買っている店だからといって、いつも同じ粉をくれるとは限らない、。どんなお人好しの正直な社長の経営するそば粉屋さんでも、次に行くと前回とは違う粉をつかまされる、そういう業界なんです。
 
 さて出来上がったそばは、やっぱダメだ! 決して不味くはなかったんですが、自分でそばの種をまき、自分で石臼を回し、自分でその粉を打った者にしか分からないことってありますね。お土産のそば粉を打ってみて初めて分かりました。