らんかみち

童話から老話まで

陶芸クラブの嫌われ者

2009年07月04日 | 陶芸
 大皿を挽きあげて得意げになっていたところ、「君ぃ、これを焼くつもりかね?」と、陶芸クラブの重鎮であらせられる窯土要釉斎先生のチェックが入りました。
「えぇ、先生の窯入れの儀に参加させていただけたらと」
 要釉斎先生は近々窯焚きの予定があるんですが、窯にはかなりの空きスペースがあると聞いてます。陶芸窯というのは大きな隙間があると本来の性能を十分には発揮できません。ということは、ぼくの2棚分の作品も一緒に焼くのは好都合なはず。
「ふむ、一緒に焼くに値せん皿じゃ。君は一人で焼きたまえ」
 そんなバカな、ライオンの子どもじゃあるまいし。と、谷底に突き落とされたような、つれない仕打ちに愕然となりました。
 
 クラブには新旧二つの窯があって、古いのを使う保守派と、新しいのを使う革新派の二つのグループが存在します。
 保守派の要釉斎一派がぼくを仲間はずれにするというなら、革新派に打診するのみです。
「うちでもお断りするよ、一人で焼けば」
 打診する前に革新派の領袖に蹴られてしまいました。
 
 いったいどうしたことでしょう。ぼくが何をしたというのでしょう。そりゃ確かに八方美人で、鳥になったり動物になったりのコウモリ飛びで渡り歩いておりますが、これほど邪険に扱われる憶えはありません。ぼくは陶芸を始めてまだ半年余り、まだ一人で窯を焚くことはできないんです。
   
   つづく