らんかみち

童話から老話まで

こ、これが山芋だって?

2008年12月27日 | 酒、食
 巷ではシュトーレンだの七面鳥だのヘチマだのと喧しい年の瀬ですが、我が家は麦飯で凌いでます。生活苦にあえいでいるというより、なぜかこの季節になると姉から自然薯が届くので、どうしてもとろろ汁に走ってしまうからです。なぜとろろ汁には麦飯かというと、粘り気の無いパサつくほうが食べ易いからというのと、麦の香ばしさが味噌ベースの味付けに良く合うからでしょうか。
 
 恥を明かさねばなりませんが、ぼくがとろろ汁の味を正当に評価できるようになるまでには3年ほどの歳月を費やしてしまいました。三重県の伊勢うどんしかり、名古屋の味噌煮込みうどんしかり。「こんなの人間の食うもんじゃねー!」とまで叫んだほどです。
 
 初めてとろろ汁を食べたのも寒い日だったのですが、そのぬるさに驚き、何か間違えて作ったのかと思いました。真冬に雪化粧をした富士山を眺めながら食べてホクホクと心が温まるつもりが、裏切られてしまったかのように悲しくなったものです。今でこそ熱々のご飯にとろろをかけたら固まるから仕方ないんのだと分かりますが、当時は二度と食べるものか、と誓ったものです。それが今じゃ、伊勢うどんもとろろ汁も大好物なんですから分からんもんです。
 
 それにしても、今度もらったのは妙な姿形! こんな山芋なんて初めて見ました。いつもなら真っ直ぐで色白だし、摺ってもわりとさらりとして、自然薯といってもパイプに入れて栽培したものだとすぐに分かります。ところがこのグロテスクな芋は生い立ちは想像できかねます。天然物でもおおむね長く、それゆえ長芋とも呼ばれるのでしょう。してみるとこれは栽培に失敗した自然薯の可能性も否定できません。摺ってみると非常に粘り、出汁をかなり加える必要がありました。次回はとろろ蕎麦にして食べてみましょう。