らんかみち

童話から老話まで

賞品を売り払う不義理

2007年12月08日 | 暮らしの落とし穴
 エッセイに入選して副賞が送られてきたんですが、開封してみて「やっぱりな」と思いました。1年半ほど前にネットで売り払ったのと、ほぼ同じものだったからです。
 10年前にぼくがこのシリーズを買ったとき、このタイプは上級グレードだったはずですが、その後ピエゾ式という高性能な製品が発売され、今回もらったのはスタンダードになっているようです。

 もらったものだから文句を言えばバチが当たりましょうが、サイレントバイオリンを前にちょっと悩んでしまいました。
 売り払った祟りで同じものが舞い戻って来たんだ、なんてことは考えないようにしてますが、再び売り払ったらどんな怖ろしいことが起きるのでしょうか。いやそれより、こういった性格の品を売ってしまうというのは、人としての有り様にもとりゃせんか? と心配になるのです。

 某カメラメーカーが業績不振にあえいでいた頃、デジタルカメラをボーナスに代えて支給したのだそうです。
「絶対に売ってはなりません。製造番号は控えて渡しますから、売った人物が特定できるようになってます」
 という会社側からの厳しいお達しがあったにもかかわらず、翌日のネットオークションには当のカメラが大量に出品されていたと云います。

「あのカメラの出所って、絶対にうちの社員だよな。でもボーナスを現物で支給された側の気持ちにもなってくれって言いたくなるよね」
 こういった意見が多くの社員の憤りを代弁しているようにも思えるんですが、その社員がライバル会社のカメラを愛用していると聞いては、愛社精神もどこ吹く風です。
 それと似たことをぼくが今やろうとしているので、少し逡巡するんです。エッセイという労働の正当な対価なのだから、副賞をどうしようが勝手、とは思うんですが……。