らんかみち

童話から老話まで

ちりとてちん、とても観てられないよ

2007年12月05日 | エンタメ
 NHKの朝ドラは、正しくは連続テレビ小説というらしいですが、土曜日には1日に6回放送されるので、6回とも観てしまうことがあります。というのは、あのドラマのせりふがとても分かり難いからです。関西弁をしゃべるぼくですらそうなのですから、関東の方はほとんど聞き取り不能? それで字幕付きの放送を観て、「ああ、こう言ってたのか」と納得したりします。

 それにしても昨日の放送は観てられませんでした。満座の前で失態を演じた経験は、多かれ少なかれ誰にでもあると思うんですが、ぼくも大失敗したことがあります。
 あれは今から干支が一回りする前のねずみ年のこと。ピアノを習い始めて1年半が経過し、初めての発表会にショパンのマズルカで臨んだ時のことでした。

 発表会場は小ホールとはいっても、お客は数百人でごった返していました。生徒が30人出場したとしても、その家族が一人につき3人来たら900人! その観客の多さに、ステージに上がる前に既にぼくはテンバッてました。つまり麻雀であがる一歩手前のアガッタ心理状態なって、ステージの袖から前の奏者が弾き終えた時には頭の中がが真っ白になってまして(そのせいか、今は頭の外が真っ白)最初の音が思い出せないんです。

 さらに悪いことに、ぼくが出場する寸前に先生がピアノの前に行って椅子の高さを教室の高さに合わせてくれたんですが、座ってみると5cmほど高いんです。それなら自分で直せばいいだけですが、そんな余裕もなく弾き始めてしまい、何とか弾き切ったものの最後はメロメロ、ヨロヨロになって大恥を掻いてしまいました。

 でもそれはまだ序の口で、次の発表会にはバッハのフランス組曲。これは一音間違っただけで最後まで右手と左手がずれながら弾いてしまいました。でもそれはまだマシだったんです。決定的だったのはその後でした。
 その日ぼくはピアノを弾き終えた後、バイオリンも弾いたのですが、ピアノの失敗を引きずって弾き始めたものですから、右手が振るえ、それが弓に伝わって音楽にはなりませんでした。悲しいトラウマが今でもときおり顔を覗かせます。

 だから徒然亭若狭の初講座の失敗には身につまされ、思わず感情移入してしまい、2回目の放送は観る気になれませんでした。
 場数踏んだおかげか、それとも歳のせいで鈍感になったか、今はあの頃ほどあがらなくなったぼくですが、若狭ちゃんはどうやってアガリ性を克服していくんでしょうか。ますますあのドラマから目が離せなくなってきました。