らんかみち

童話から老話まで

保健所の検査が入りました

2007年05月22日 | 酒、食
 ついに場末の飲み屋に保健所の改善指導が入りました。食中毒を発生させたわけでもないのに不思議ですが、言うまでもなくタレコミでした。

「ちょっと通報がありまして、検査させていただいてよろしいでしょうか?」
「通報って、ひょっとして、バカ男からですか?」
「そうです、そのバカ男からの通報です」
 そんなやり取りがあったらしく、次回の検査までに指摘点を改善するように指導を受けたらしいのですが、それで今夜の場末は荒れました。
 
「なんぼ出入り禁止になったから言うて、密告するなんて最低の人間や!」
 と、気炎を上げる客がうるさくてますます難聴に拍車をかけられたぼくですが、こういう威勢のいいことをいう人に限って、当人を前に物を言えないのです。それはいいんです、だれもそういう人を男らしいと言う人はいません。聞いてないんです。
 
 確かにバカ男は屑です。出入り禁止のはらいせでお上に願い出たなんて、やくざが人としての権利を侵害された、と訴えるのに似ています。アウトローが切羽詰って法律に頼るみたいな情けないざまです。やくざなら暴力に訴えるべきだし、バカはバカなりの手を使うべきではありませんか。バカの風上にも置けない屑です。
 
 とまあ、バカの人格を全否定するぼくですが、良くぞやってくれた! と、内心では喝采を送るんです。
 改善命令はこの20年間というもの客が出し続けていたのに、それをことごとく無視し続けて、小蝿の舞う中、臭いグラスを出すマスターに天誅が下ったのですから、遅すぎたくらいです。
 
「で、マスター、明日から休むかい?」
「いや、こうなったら意地でも見せ開け続けたるねん!」
 再検査が入るのは2週間後らしいですが、明日から3ヶ月は閉店する、とぼくはみました!