らんかみち

童話から老話まで

童話教室のプレッシャーに溺れそう!

2007年05月08日 | 童話
 昨年からの体調不良の原因はどうやら歯に問題があったらしく、歯医者通いの末にそれはなんとか治まりそうな気配なんですが、今度は耳鳴りに悩まされて耳鼻科を受診しました。
 でも前に通っていた「藪石」先生の所にはもう行きません。あそこは空いてるんですが、おざなりな診療をされそうで、それに文句でもつけようものなら、一服盛られかねない! とビクビクするのもいやですし……。
 
 今日訪ねたのは、5年前に初めて行って凄まじい混み様に嫌気がさした開業医さんです。ですから今日も案の定、玄関には脱ぎ散らかされた靴で足の踏み場もありません。やっぱり駄目か! と諦めかけたんですが、受付終了の12時を狙って行ったので、もう他所の医院には行く余裕がありません。しかたなく待合室にかけて待っていると、お子さまたちの悲鳴に耳鳴りが加速し始めました。
 
「どうしました? あぁ右耳だけが詰まったような感じですか。じゃあ先に検査室にどうぞ」
 検査室というのは、建築現場なんかに設置されている簡易トイレ様の部屋なんですが、きっちり締め切っているのにお子さまたちの悲鳴が漏れ聴こえてくるんです。そんな状況下でヘッドフォンから流れるかすかな音に反応してスイッチを押すんですが、聞き逃すまいと必死になって緊張感が高まり、動悸息切れまで併発してしまったのです。
 
 ふらふらになって検査室から這い出したら、
「このグラフを見てください。完全に神経を病んでますね」
と、先生の無情な説明に追い討ちをかけられました。
 甘かったです。耳糞でも詰まっているに違いない、と軽く考えていたところでしたから、これには顔から血の気が引いてしまいました。
「で、先生、原因なんですが……」
「原因ねぇ、まさか童話教室なんかに通ったりしてないでしょうね?」
「えっ! そのまさかなんですが……」
「ビンゴッ、ですか! あれはいけませんよ。人によったら命取りになりかねません」
 もちろん嘘ですよ。この部分は完全にでまかせです。想定問答をシミュレートしてみただけですが、どうやら神経を病んでいるのは間違いなさそうで、6種類もの薬を処方されてしまいました。
 
 童話教室は、ぼくが大げさに言っているほど過酷な虎の穴ではありません。とはいえ、童話作品ではないにしろ入選実績を持つぼくとしては「なんだこの程度で入選か」といわれたくないプレッシャーは少なからずあります。
 ですが、もうそれから開放されるでしょう。なぜなら同窓生の「うさこ」さんも公募に入選して下さったからです。もうぼく一人が「目標は入選!」の重荷を背負わなくても良くなったのです。
 
「それでは経過を観察しますので、童話教室が終わった金曜日にもう一度来てください」
 これは本当です。いえ、もちろん先生はそんなことおっしゃいませんでしたが、そう聞こえてしまったんです。どうやら幻聴まで聞こえるようになったのかもしれません。