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くぬぎのたろぐ

くぬぎ太郎の日常的視点

リンの闘い

2012-12-21 02:39:06 | Weblog
家の周りは細い道が入り組んでいて車が入って来れないせいか野良猫が多い。
外に出れば最低でも一匹は見かけるし、
うちの勝手口の前は野良猫の通り道になっていて
複数の猫が行ったり来たりしている様子がリビングにある大きな曇りガラスの窓越しに見ることができ、
さながら猫銀座といっても過言ではない状況だ。

一人で住んでいた頃であれば「あ、また猫が通った」で済んでいたところであるが
リンとの同居生活が始まってからはそう呑気なことも言っていられない。

人間が簡単に気づくくらいだから、
より鋭敏な五感をもつリンが野良猫に気がつかないわけがなく、
家に野良猫が近づくとソワソワと動き回り、
野良猫の姿を確認するとジッと監視を続けている。

しかしリンの厳戒態勢などはどこ吹く風とばかりに野良猫たちは動じない。
これまでと変わらず屋根の上で日向ぼっこをしたり、
縄張りをめぐる争いか喧嘩に明け暮れたり、
隣に住んでいるおばさんに話しかけられたりしている。
やはり生まれてから温室でヌクヌクと育った家猫と
毎日生きるか死ぬかの世界で生きている野良猫では肝の座り方が違うようだ。

傍若無人な野良猫とソワソワ落ち着かないリン。
この構図がいつまでも繰り返されていくのだろうなと思っていたがある日、
リンがキレた。

一匹の野良猫がリビングの窓の前に居座り、
立ち上がってサッシに前脚をかけて家の中を覗き込んだ瞬間
リンが尻尾をタヌキのように脹らませながら猛然と窓際へダッシュしていき、
暴走したエヴァンゲリオンのような声をあげて威嚇し始めたのだ。

こんなリンを見たのは妻も初めてだったようで
大そう驚きながらもどこか間抜けなうなり声に笑いそうになっていたが
リンは大まじめなので笑うわけにもいかず事の成り行きを見守っていた。

当の野良猫は相変わらずサッシに前脚をかけたまま微動だにしない。
窓が開かない限りは危害を加えられることはないと知っているのだ。
そんな太々しい態度が曇りガラス越しのシルエットから伺える。

怒りが頂点に達したリンはガラスに向かって猫パンチを何度も連打した。
「やや内側に向かってひねり込むように打つべし!打つべし!」
しかし野良猫は憎たらしいほどにまったく動かない。

見かねた私も曇りガラスでシルエットしか見えないのをいいことに
巨大きな猫のフリをして威嚇してみたが
妻には笑われ野良猫にはスッカリと見透かされてしまった。

結局その場は勝負がつかず(いや、ついてるけど)
野良猫は放って置くことにしてリンを別の部屋へ移すという形で治められた。

その後も野良猫が同じ場所に留まりリンがキレるというくだりが繰り返された。
なぜそこに猫が留まるのか考えてみたところ、
どうもエアコンの室外機が目当てなのではないかという結論に至った。

こんな寒い冬の夜に野良猫たちはどこで過ごしているのかと思っていたが、
そうか、ここにいたのか。
リンには悪いけどたまに暖を取るくらいは目をつむってあげよう。

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