1月は家族の誕生日が目白押しです。
まず始めにやってくるのが姉の誕生日。
プレゼントのリクエストを聞いたところ、
何やら難しい名前の香水を頼まれました。
普段香水には髪の毛程の興味もない私にはどんな物か想像もできません。
送られてきたメールの商品名をコピーしてそのまま検索エンジンにペースト。
出てきました、キラキラと輝く香水瓶の画像がズラズラと。
ふ~ん、こういうのが好みなのね。
と思いながら、ネットショップへ進むとどこの店も品切れではありませんか。
私の耳には一度も入ってきたことがない名前のわりに大層な人気商品でございますこと。
別の品に変更するか、納品されるまで気長に待つかと姉に尋ねたのですが
暗に「デパートで売ってるから買って来て」ということを言われたので
私はしぶしぶと銀座の三越へと赴いたのです。
オシャレマダムの殿堂・銀座三越。
アウトドアのパーカーを来たいかにも不釣り合いな私が入店しました。
目指すは地下1階の化粧品売り場です。
自分がいかに周りから浮いた存在であるか、私は敏感に感じていました。
もしかしたら実際に少し浮いていたかもしれません。
エスカレーターを下りフロア案内で店の場所を確認し、一直線に向かいました。
店の前に漂う香水の強い香り。
店員は私と同じくらいの歳と思われる女性が一人。
この人は一日中こんな香りの中にいて果たして正気を保っていられるのだろうかと少し心配になりました。
「すみません、ちょっと頼まれてきたのですが…」と、
私はこの世界に棲む人間ではないことをさりげなく主張しながら店員に話しかけました。
「申し訳ありません、少々お待ちくださいませ」と、店員。
おっと先客がいたようです。
地味な服装をした妙齢の女性が店の片隅に座っておりました
煌びやかなディスプレーに埋もれていて気がつきませんでした。
待たされること5分程、
私は特にすることもなく直立不動でただ香水の香りに耐えておりました。
あまりの手持ち無沙汰にプロダクトデザイナーだった前職の経験を活かして
ディスプレーの細部の構造を観察したりしていたら、ようやく店員の手が空いたようです。
「お客様、お待たせしました」
「あの、頼まれてきたんですが…」と再度前置きをし、
「い、いんぐりっしゅぺああんどふりーじあの100mlをください」と
私は姉から来たメールを喋り始めたばかりの子供のように読み上げました。
「イングリッシュペア アンド フリージアですね?」と
店員は私のたどたどしい言葉を流暢に言い直し商品を取り出してくれました。
「こちらでよろしいでしょうか?」と確認を求められましたが
何の知識もない私は「はい」と答えるしかありません。
プレゼント用の包装をお願いしたので会計後も少し待たされました。
ようやく目的の品を手に入れ、上りのエスカレーターに一直線。
頑張れ!出口はもうすぐだ!
ようやく三越を出た私は薄汚れた銀座の空気を胸いっぱいに吸い込み、
少し咳き込みながらもささやかな安堵感を得ることが出来たのでした。
まず始めにやってくるのが姉の誕生日。
プレゼントのリクエストを聞いたところ、
何やら難しい名前の香水を頼まれました。
普段香水には髪の毛程の興味もない私にはどんな物か想像もできません。
送られてきたメールの商品名をコピーしてそのまま検索エンジンにペースト。
出てきました、キラキラと輝く香水瓶の画像がズラズラと。
ふ~ん、こういうのが好みなのね。
と思いながら、ネットショップへ進むとどこの店も品切れではありませんか。
私の耳には一度も入ってきたことがない名前のわりに大層な人気商品でございますこと。
別の品に変更するか、納品されるまで気長に待つかと姉に尋ねたのですが
暗に「デパートで売ってるから買って来て」ということを言われたので
私はしぶしぶと銀座の三越へと赴いたのです。
オシャレマダムの殿堂・銀座三越。
アウトドアのパーカーを来たいかにも不釣り合いな私が入店しました。
目指すは地下1階の化粧品売り場です。
自分がいかに周りから浮いた存在であるか、私は敏感に感じていました。
もしかしたら実際に少し浮いていたかもしれません。
エスカレーターを下りフロア案内で店の場所を確認し、一直線に向かいました。
店の前に漂う香水の強い香り。
店員は私と同じくらいの歳と思われる女性が一人。
この人は一日中こんな香りの中にいて果たして正気を保っていられるのだろうかと少し心配になりました。
「すみません、ちょっと頼まれてきたのですが…」と、
私はこの世界に棲む人間ではないことをさりげなく主張しながら店員に話しかけました。
「申し訳ありません、少々お待ちくださいませ」と、店員。
おっと先客がいたようです。
地味な服装をした妙齢の女性が店の片隅に座っておりました
煌びやかなディスプレーに埋もれていて気がつきませんでした。
待たされること5分程、
私は特にすることもなく直立不動でただ香水の香りに耐えておりました。
あまりの手持ち無沙汰にプロダクトデザイナーだった前職の経験を活かして
ディスプレーの細部の構造を観察したりしていたら、ようやく店員の手が空いたようです。
「お客様、お待たせしました」
「あの、頼まれてきたんですが…」と再度前置きをし、
「い、いんぐりっしゅぺああんどふりーじあの100mlをください」と
私は姉から来たメールを喋り始めたばかりの子供のように読み上げました。
「イングリッシュペア アンド フリージアですね?」と
店員は私のたどたどしい言葉を流暢に言い直し商品を取り出してくれました。
「こちらでよろしいでしょうか?」と確認を求められましたが
何の知識もない私は「はい」と答えるしかありません。
プレゼント用の包装をお願いしたので会計後も少し待たされました。
ようやく目的の品を手に入れ、上りのエスカレーターに一直線。
頑張れ!出口はもうすぐだ!
ようやく三越を出た私は薄汚れた銀座の空気を胸いっぱいに吸い込み、
少し咳き込みながらもささやかな安堵感を得ることが出来たのでした。